ライブレポート

【ライブレポート】歓喜と波乱で渦巻くマイヘア初の横アリ公演が本気でエモ過ぎた

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My Hair is Badの三人が遂に横浜アリーナのステージに立つ。単独公演では無い全国12カ所を回る「ファンタスティックホームランツアー」の一環でのステージだ。2019年4月16日17日しかも、平日2Days(両日共にソールドアウト)という物凄い強気なスケジューリングに如何にマイヘアが飛ぶ鳥を落とす勢いであるか窺い知れる。スタンディングは比較的スペースに余裕があったようにも感じたが、思えば1年前は初の武道館公演を開催していた彼らが、急ピッチで各日1万2000人で埋め尽くされたアリーナ公演をやってのけるバンドになっていたことが何よりも嬉しかった。

初武道館の時はあまりの緊張でステージ上の記憶が無いと言っていた椎木知仁(G/Vo)だったが、この初アリーナ公演ではどんな姿が見れるかが楽しみで仕方なかった。ただ、それは成長を求めるとかではない。よくバンドの成長なんて言葉を聞くが、それは会場の規模がどうこうなだけであってバンド自体は変わらない方が魅力的だったりするもん・・・・・・じゃない?(笑)だから、この日もアリーナという大規模な空間で如何にマイヘアらしさを表現するのかを楽しみにしてた。

予想以上にマイヘアだった。
予定調和でいかない、何が起きるかは分からない。ステージ上の景色が全てであると飲み込ませるタイマン勝負。まるで格闘技を見ているかのような緊張感。それがマイヘアのライヴ。

「新潟県上越市から来ました、My Hair is Bad始めます!」という宣言と同時に昨年リリースされたばかりの「惜春」がアリーナに響き渡る。次いで「グッバイ・マイマリー」「18歳よ」と続き、冒頭から疾走感溢れる楽曲が待ったなしで披露される。そんなに人気曲では無いのだが個人的に好みである「接吻とフレンド」が序盤で披露されたのも熱いものが込み上げてきた。相変わらず身体全体で全力でギタープレイをする椎木の姿がカッコ良かった。椎木の頭の中は沸騰しきっていたのだろう、あり余るパワーを客席にぶつける様は今まで見てきたマイヘアと変わりなかった。相変わらずMCは空回ってたし、「絶好調が故に調子が出ないことってない?」と訳の分からない言い訳に、山本大樹(B)と山田淳(Dr)から「ない!」と即答されていたのも微笑ましかった。

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続く「アフターアワー」「元彼氏として」と、アッパーな曲を連投する中で、上唇から流血しているのも見えた。昨年発表した『mother』の中でも異彩を放つもカッコ良い曲「燃える偉人たち」では機材トラブルが発生。けど、ギターが鳴らなくなっても演奏を止めない。椎木はそのまま客席にダイブする。窮地も己の肉体で反射神経で乗り越える生身のバンドマンである椎木の度量に感銘を受ける。派手な特効や演出で彩られサンプリングされたカラオケを流して、演奏してるのか否か分からない商業バンドが増える一方で、マイヘアはいつ何時も“ガチ”であることを証明した。
それらは全てライブハウスで鍛え上げてきたものであり、横浜アリーナになってもスタンスは変わらない、1万2000人で埋め尽くされた横アリがライヴハウスになったことは凄まじいのひと言に尽きる。

「誠実さと優しさは武器じゃない。最後は自分を守ってくれるものだ」と言い放った椎木の本質は愛されるではなく愛すことを諭す。だから彼はいつも楽曲の中で等身大の愛情を表現し続けることが出来る。終盤の「次回予告」「ドラマみたいだ」では、そんな椎木の照れ臭くもストレートな愛情を感じた。

波乱と感動の両極端が同居する不思議なライヴだった。

「横浜アリーナでワンマンをやれる人はベンツとかに乗ってるんだろうなって思ってた。俺たちは富豪感が足りてない」という冗談も実に椎木らしくて好きだった。
会場で配布されたチラシには6月に新アルバムの告知がされていた。本当に楽しみで仕方ない。もちろん、それを携えてツアーもやることだろう。留まることを知らないマイヘアに今年の後半も夢中になりそうだ。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

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