ハリウッド

世界を恐怖に落し入れる『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』が北米で空前の大ヒット!

(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

原作者キングも絶賛!空前の大ヒットを記録!

スティーヴン・キング原作のホラー小説の映画化『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』が世界を席巻中です。米国本国では上映開始後およそ2週間で、あのホラー映画の名作『エクソシスト』(1973)の興収2億3,290万ドルをも抜き、9月公開映画の過去最高収益を上げ、R指定されたホラー映画として史上最高収入を記録したという。

ホラー映画の括りが曖昧ではあるが、例えば『シックス・センス』(1999)2億9,300万ドル、『ジョーズ』(1975)2億6,000万ドルなんかもホラー映画とカテゴライズさせると、まだまだ興収の面で追い抜いていない作品はあるが、それも時間の問題だろう。

また、原作者であるスティーヴン・キングも絶賛。『シャイニング』では、監督であるキューブリックが原作の内容と意図を変更したとして、大批判をしたことは有名な話である。そんなキングが絶賛するのだから、よほど原作に忠実なのだろうと想像に易いが、期待は高まる一方である。

米国各地で本作になぞらえた悪戯が発生

そんな米国での空前のヒットにより問題も発生。ペンシルベニア州では、排水溝に赤い風船を縛り付けるという、劇中のワン・シーン(側溝に紙の小舟を走らせていた6歳の少年が、排水溝に吸い込まれた小舟を探すために覗き込むが、そこにはピエロが潜んでおり、風船を差し出して少年を淵へと引きずり込むというシーン)を彷彿とさせる悪戯が多発、警察が辞めるように注意勧告をする騒動になっている。大旋風を巻き起こしているホラー映画なだけに、悪戯も日に日に多くなって、赤い風船だらけになってるというから、警察官としては気が気でない、「赤い風船」は浅田美代子で十分だ・・・・・・なんて言っても若い人には通じないだろうが。(今の還暦世代だろ)

そもそも何故ピエロが恐怖の対象に?

しかし、ピエロ(道化師)というのは本来はサーカスでドジをやって大衆の好奇心を煽る、愛されるべきキャラクターである。それが、真逆のイメージで“恐怖の対象”として捉えられるというのは、どういうことなのだろうか。
異様に大きな口、白い顔、奇妙な容姿と挙動。そんなピエロに心の底から恐怖を感じる「ピエロ恐怖症候群」というものが存在するという。マクドナルドの、お馴染みのアレでさえも怖いというのだ。あのジョニーデップも、自身がピエロ恐怖症候群であると告白している(ジャック・スパロウも十分にピエロ的ではあるけども)
そもそも、何故ピエロが恐怖の対象になるのかと言えば、幼少期のトラウマに起因するという。もともと、愉快な存在として社会的に認識されるピエロのイメージが、そうではないイメージで植え付けられることによるケースが多いという。「性別が分からない」「笑っているのか怒っているのか感情が分からない」等から、得体の知れなさ、何をされるか分からない恐怖が形成されるという。一説によると米国では7人に1人はピエロ恐怖症候群に該当するとされており、精神的な疾患として治療対象になるケースもあるという。

ピエロの恐怖化は本作が与えた影響が大きいのでは?

ただ、個人的には、この『IT』の影響も相当大きいと思う。キングの原作が発表されたのが86年、90年に映画化されている。ピエロを恐怖の対象としてギャップを描いたことでは画期的だった。キング原作の映画で、こうしたギャップというのは、本作だけではない。『時計じかけのオレンジ』(1972)が最も有名で、作家夫婦の家に押し入り、暴力や強姦を繰り広げる主人公が、『雨に唄えば』のテーマ曲を口ずさむことで、暴力的な映像と、明るいBGMのギャップで観衆のトラウマを助長させる手法。これはキューブリックの手腕に因るものだが、キング原作の小説というのは、どこか従来のイメージを覆させる破壊力があるなと感じる。


日本での公開は2017年11月3日予定。
果たして、日本でも大ヒットなるか? 久々のハリウッド産ホラーに世界が恐怖におののく。
それにしても何故「それが見えたら終わり」なんて、超絶ダサい副題を付けるのだろうか?

(文:ROCKinNET.com)※無断転載は固く禁ずる

参考引用:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170906-00010012-jisin-ent
https://www.cinematoday.jp/news/N0094393
http://mujina.hatenablog.com/entry/andres-muschietti-it-red-balloon
https://matome.naver.jp/odai/2137292364779334401

 

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 『娼年』の実写化で性に真剣に向き合った監督と、素っ裸で腰振りまくった松坂桃李に敬…
  2. 13年ぶりロッキンに出演したサザンが凄かった!ROCK IN JAPAN史上最大…
  3. アナタが行くヤツ、それ本当にフェス?フジロックが世界の最重要フェス3位に選出!
  4. 【速報ライヴレポ】ハリー・スタイルズ初ソロ来日公演を間近で観た!彼こそ時代の寵児…
  5. 「時代遅れのRock’nRoll Band」を聴く

関連記事

  1. 映画

    第11回 独断で選ぶ今年良かった映画 TOP10 2019

    今年2019年の邦画と洋画を合わせた興行収入の総額が、2016年に…

  2. ハリウッド

    SW史上最大の被害者?ダース・モールその悲劇の人生を徹底解析!

    ※注意※この記事は、映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストー…

  3. 映画

    『天気の子』オスカー日本代表作に選出!絶対に受賞できない理由とは?

    この夏、日本に『天気の子』旋風吹き荒れる!タイアップコラボは7…

  4. 映画

    実はレズ映画?『アナと雪の女王』旋風が止まらない!

    国内の興行成績が100億円を超したとかで、これは洋画だと201…

  5. 映画

    石田衣良の『君の名は。』新海監督批判があまりに悪意に満ちてて呆れた件

    あまりに酷くて逆に可哀想になってきますね。作家の石田衣良が…

  6. 映画

    第13回 独断で選ぶ今年良かった映画 TOP10 2021

    昨年よりパンデミックにより劇場封鎖を余儀なくさ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. 音楽

    【FUJI ROCK直前特集 Part.2】音楽に政治を持ち込むのは是か?非か?…
  2. 邦楽

    サザン40周年ライヴをLVで観る!~親近感こそサザン最大の魅力だと再確認する~
  3. テレビ・芸能人

    テレ朝スーパー戦隊の放送時間変更の暴挙は吉と出るか?
  4. ライブレポート

    ELLEGARDEN復活ライヴを観る!10年の活動休止の先にあった変わらない尊さ…
  5. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス
PAGE TOP