映画レビュー

新鮮味皆無の超大作『トランスフォーマー/最後の騎士王』を観て過剰は見飽きると察する

© 2016 Industrial Light & Magic, a division of Lucasfilm Entertainment Company Ltd., All Rights Reserved © 2017 Paramount Pictures. All Rights Reserved. HASBRO, TRANSFORMERS, and all related characters are trademarks of Hasbro. © 2017 Hasbro. All Rights Reserved.


このシリーズは題名の通りロボットの変形(transform)シーンが、カッコ良ければ、それでOKなのである。それ以上のことは望まなくとも成立する映画なのだ。だから、ストーリー性とか正直どうでもいいと思っているのだが、にしても、シリーズの限界を感じずにはいられない最新作であった。

とにかく、ハリウッド大作の中でも、その映像技術は群を抜いて過剰なほどだ。過剰は、さらに過剰になることでしか、その娯楽性を更新できない。前作から、主演がマーク・ウォルバーグに変わり、少しの新鮮味を感じたが、なんせシリーズも五回目になり、ロボットのtransformにも見飽きてしまっており、斬新さが無い。確かに、この映画は相変わらず、とんでもないことをしているのだ。これだけの映像は、なかなか観ることは出来ない。けど、映像的な飽和が解消される工夫は、されていなかった。

ま、冒頭で描かれていた「アーサー王の伝説」という史劇を、未来的なロボット映画の根底テーマにしてしまうという冒険とアイディアは冴えていたようには思うが、「どうせ、ロボットがガチャガチャと変形して、大袈裟に敵と戦うんだろ?」という予想に反しない。何かあっと言わせるものもない。全部が想定内。過剰演出も回を重ねるごとにマンネリになる。過剰のマンネリほど疲れるものはない。

今回は惑星が衝突するような、『トランスフォーマー』らしいスケールの大きさが描かれているし、都市破壊の様相も衰え知らずだ。けど、これまで散々推してきたオプティマスの出番を極端に少なくするなど暴挙が凶と出ており、シリーズの旧来ファンの期待を裏切っているようにも見えるし、BB-8のような小型ロボットの外見や愛嬌の中途半端さも虚しく、どうも、いまいち好感の持てない作品だった。この前のシリーズ四作目の出来が良かっただけに、非常に残念な気分にはなった。
マークの出ている現映画が新三部作?だとすれば次がラストになる、有終の美が飾れるような迫力・画力とアイディアを期待したいところである。

(文・ROCKinNET.com編集部よっしー)
※無断転載は固く禁ずる。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 『ブラック・パンサー』を観た!社会風刺と娯楽性が融合したマーベルの新傑作が誕生し…
  2. 【大混戦】#TimesUp運動の影響で本年度オスカー主演男優賞はティモシー・シャ…
  3. 『茅ヶ崎物語 ~MY LITTLE HOMETOWN~』からサザンがエロスを歌う…
  4. 2017年 勝手に選ぶベスト洋楽 TOP10
  5. 実写化史上最も成功していると言って過言でない『美女と野獣』に感動する

関連記事

  1. 映画レビュー

    時代と逆行する想定内のキムタク映画『無限の住人』

    黒澤明の『椿三十郎』のラストシーンを思い出した。三船敏郎と仲代…

  2. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】エイプリルフールズ

    (C) 2015フジテレビジョンいいお話でしたね。嘘がきっ…

  3. 映画レビュー

    薄暗いシナリオ以上に役者の本域に感銘を受けた『怒り』

    救いのない暗い映画です。最近の邦画はとことん暗く、日本映画の韓国映…

  4. 映画レビュー

    実はディスでなく埼玉愛の映画『翔んで埼玉』は理想の多虐ギャグだ!

    なぜ埼玉は「ダサい」のか?埼玉のイメージを下落させた真犯人…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. 映画

    『いぬやしき』興行失敗で垣間見える漫画原作映画の限界~世間はエグさに飽きている
  2. ハリウッド

    世界各国で記録的ヒットの『ブラック・パンサー』は何故ここまでの現象になったかを勝…
  3. ハリウッド

    【YOUTUBE誕生のきっかけ】来年2018年のハーフタイムショーはジャスティン…
  4. 映画レビュー

    『アベンジャーズ/エンドゲーム』 映画史に残る大傑作にして娯楽の頂点だ!
  5. 音楽

    ジャスティン・ビーバー新曲のスペイン語が歌えず大ヒンシュクからのブーム化
PAGE TOP