映画

【映画レビュー】劇場版 鬼滅の刃『無限列車編』で感動しなかった者の言い分を勇気出して言ってみる※ファン御免!



Photo:ROCKinNET.com
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

※※注意※※
はじめに断っておくと、自分は炭治郎のコスプレをするなど、鬼滅には一定以上の愛情を持っているし、肯定的なファンであることを断言しておきたい。ただ、この感想は、結構な否定的な意味合いが強いので、不快に思われると想定される方は、絶対に読まないで頂きたいと、予め断らせて頂きます。何卒よろしくお願いいたします。勇気いるんですよ、2020年に鬼滅批判するってのは。

正直、そんなに印象に残ってる映画でもなくて、何か琴線に触れた訳でもない。史上最高のオープニング成績(初週末の興収46億円)の驚異的記録にも驚かされたが、ここぞとばかりに、泣けた!泣けた!と言われる同調圧力に驚く。

煉獄杏寿郎の言葉に斬新さが無い

そもそも、これの何処で泣くの? 確かに、本作でクローズアップされる煉獄杏寿郎が良いことを言うわけだ。「老いることも死ぬことも人間という儚い生き物の美しさだ」「俺は俺の責務を全うする!」「自分の心のまま正しいと思う道を進むよう伝えて欲しい」 と。人間讃歌ともいえる、これらの台詞の美しさとインパクトは、なるほど相当な物で、こういった台詞に多くの共感を呼んでいることは素直に喜ばしいと思える。ただ、老いを肯定したり、自分らしく生きろなんてメッセージは、この世に五万と溢れており、どっかで既に似た台詞は聞いてるし、予定調和的で涙するほどの大袈裟なものとは言い難い。


なぜ泣けないのかを物語構造上から説く

ってのもね、物語構造上、この感動が嘘くさいと言う理由は、煉獄杏寿郎という存在の浅さにあると感じた。アニメでは、煉獄はじめ柱の登場も、シーズンの終盤で、煉獄の登場シーンも少ない。映画でも「うまい!うまい!」と機械的に言うなど、主人公たちと心の通った会話も少ないので、その人間性を知る由もない。無限列車でも目を見張る活躍をしていない。そんな脇キャラに急にスポットライトを浴びせ、急に彼の生い立ちも語られる唐突感など、ちょっと展開が強引じゃないかと思ってしまったわけだ。
そもそも、物語の前半と後半にあたる、無限列車とアカザに関連性がなく、無理矢理感というか、ここで感動させてやろうという浅い魂胆が丸見えで興醒めしてしまった。本作は『無限列車編』と言っている割には、映画の重要なポイントは、関係のない後半であるからだ。雑だなと感じる。原作では、この直後に、無残がアカザを送り込んだシーンが書かれているが、そこまで取り入れないと物語の説得性に欠けてしまう。

これは映画でなくアニメの断片に過ぎない

これが『千と千尋の神隠し』を抜かし日本国内の歴代興行収入トップになろうとしてるのだから、何が当たるかなんて分からないものだ。そもそもが、これって劇場作品ではない。アニメの断片である。同じ少年ジャンプの劇場版でさえ、映画オリジナルの脚本だというのに、これは、アニメの続きで、これの後にも物語は続くわけで、劇場版と付いているだけで別に映画でないといけない理由がない。こういうのは映画とは言わないと思うんだよな・・・・・・

最後に褒めておく

と、言いつつも、コロナ禍で人との距離が遠ざかり、常に1.5mは離れることを意識しながら生活し、マスクも欠かすこと無く表情や感情を推し量りにくい、そんなウンザリする2020年に、夢の中で家族を侮辱された主人公の炭治郎が「俺の家族を愚弄するな」と、家族を思いやる叫びには、リアルタイムな感動を覚えるたし、煉獄さんは負けていないと他者の勇姿を讃える姿勢には、マスクやトイレットペーパーの奪い合いで殴り合ったりとか、リモート業務で在宅の配偶者がうざったくなってコロナ離婚するなど、心まで距離が離れている現代に、人として生きる上での純真さをストレートに伝える熱さを感じる。
こういった少年漫画としての清純さは、芸が無いと言われれば、それまでだが、ヒーローがヒーローとして描かれる素直さを否定する理屈は何も無いと思える。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。



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