ライブレポート

Mr.Children25周年東京ドーム公演で感じた邦楽の良心

© ROCKinNET.com All rights reserved.


圧倒される三時間強だった。冒頭から有名曲の連続。「CENTER OF UNIVERS」にはじまり「彗星」「シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~」「youthfuldays」「GIFT」「君が好き」・・・・・・もちろん、「イノセントワールド」も「抱きしめたい」も「名もなき詩」も「終わりなき旅」もやるわけである(滅多にライヴではやらない「シーソーゲーム」や「君が好き」をやったところが、このライヴの特別感を煽る)。これらの楽曲が単なる人気ソングでなく国宝級の名曲と言ってもいいくらいだと思うのは、自分のようなライトな観客さえも大半の曲が口ずさめるという事実が、何よりもの証拠である。
日本で最も成功を収めているポップバンドである彼らがここまで出し惜しみをせずに、ベスト盤のようなライヴをしたのは「周年」を意識したからに違いない。ミスチルは意外にも「周年」祝いを、そこまで大々的にしてこなかった。しかし、何故このタイミングでそれをやったのか。個人の想像に過ぎないが、2つの言葉が頭をよぎった。“セルフプロデュース”と“加齢”だ。

まずは、この大規模ツアーは彼らがセルフプロデュースになってから初のものである。小林武史からの開放宣言。大衆バンドとして大衆の期待に“率直に”応えるというのがコンセプトだったに違いない。まして、ミスチルと言えどもチャート首位が取れない時代になってきている(彼らが売れなくなったわけではなく、音楽の消費の仕方が変わっただけの話だが)。そんな今だからこそ、将来を見据えての自己アピールとして、過去の名曲を大盤振る舞いすることで、旧来ファンにも、新規ファンにも向けたライブだったのではないかと思う。
実際に、ミスチルは昨年、バンドの規模にそぐわないホールツアーをやったり、今年に入ってONE OK ROCKのツアーに対バンしたりと、若い層へのアピールに精力を注いでいるような印象を受けた。それこそ加齢からくる行動だろう。ドームを見渡すと、30代~50代のミドル世代が多い。25周年も一線を張っていればファンが年食うのは当たり前のことだし、それで五大ドーム+日産スタジアムのツアーをするのは並大抵のことではない。けど、先述の通りにミスチルは“先を見据えている”、桜井和寿が、この日MCで言った「いつまで歌えるんだろう」って言葉に集約されているように、ミスチルは新たなミスチル像を構築している最中なのかもしれない。そう感じた。

老若男女、生まれも育ちも学歴も無関係で、どんな境遇の人間でも共感できる、“分かり易い”言葉で表現された肯定的な歌詞しか存在しない。大衆性こそ最重要なポップソングとしてはミスチルこそ象徴である。詩の世界はもっと奥深くなければ安直だし退屈だと思う節もある・・・・・・けど、桜井和寿はそんなことは分かっている。分かっててやっている。開き直りの境地だ。では、彼が25年間の長きに渡って世の中を“敢えて”分かり易い言葉を以て、肯定してきた理由は何なんだろうか? それこそ、ポップソングの宿命である。彼はポップソングの象徴として、一人でも多くの人間に光を与えようとしてきた。桜井も言っていたが「ひとつひとつの曲に色んな想いで聴いてることでしょう」その通り、その想いは無数だ。その無数の想いの結晶が、とんでもない大きさとなって日本を明るく照らし続けた結果が、今日の東京ドームの景色だったと思っている。その空間は多幸感や希望に満ち溢れ、愛情深く、まさしく、この国の音楽の良心そのものだった。

個人的にはミスチル史上最高傑作と言っている「エソラ」をナイスなタイミングで演ってくれたのが何よりも嬉しかった。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. テレ朝スーパー戦隊の放送時間変更の暴挙は吉と出るか?
  2. ノエル兄貴「ロックが衰退したのは『フレンズ』が原因」と独自の分析を披露!
  3. RADWIMPS「HINOMARU」が物議!ポップ・ソングの右傾化に不自然さを感…
  4. 『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』の功績は神話をオリジナリティをもって進展させ…
  5. 「時代遅れのRock’nRoll Band」を聴く

関連記事

  1. ライブレポート

    【レッチリ、ホルモン、RAD】SUMMER SONIC 2019 2日目 ライブレポート

    今年で20周年を迎えたサマソニ!とにかく暑い!最高気温40℃に…

  2. 邦楽

    清水富美加の引退騒動が思わぬ方向へ…不倫していたバンドマンはKANA-BOONの飯田だった!

    宗教だろうが、守護霊がどうしたとか、グラビアが嫌だからとか、異…

  3. 映画

    興収記録更新、流行語・・・『君の名は。』が止まらない

    この快進撃いつまで続くのか?遂に『君の名は。』の興行収入が…

  4. 邦楽

    2009年素晴らしき邦楽たちTOP10!

    個人的に素晴らしかったと思う邦楽で今年を総括!独断と偏見です!…

  5. テレビ・芸能人

    パクリでもパロディでもいいが二番煎じ感が一番ダサい

    オリエンタルラジオの「PERFECT HUMAN」が中高生の間…

  6. 邦楽

    細美武士の新たな門出に祝福を!

    MONOEYESの新譜を聴いた。エルレ休止直後のthe…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

  1. ニュース

    エルレ細美が「待った!」転売野放し・・・チケットだけじゃないライヴ物販問題を考え…
  2. 映画

    何故「バルス現象」は起きるのか?その理由は日本特有の国民性と風土にあった!
  3. 映画レビュー

    想定外のラストに衝撃!『アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー』で初めてアメコ…
  4. ハリウッド

    世界で大ヒット中の映画『スパイダーマン:ホームカミング』の主人公トム・ホランドの…
  5. ニュース

    原爆シャツ騒動でMステ出演中止になったBTSが犯した罪とは?
PAGE TOP