ライブレポート

【圧倒的エンターテイメント】ケイティー・ペリー来日公演を観る!

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初めてケイティ・ペリーを観る。
彼女が最初に出て来た時は、まさかここまで凄いシンガーになるとは夢にも思っていなかった。格段の美人でもないし、「女の子にキスをしちゃった」なんて過激な歌詞だけが先行しただけの一発屋だと思っていた。それ以降の彼女の快進撃はリアルタイムで見ているわけだが、何故ケイティがアメリカ芸能史に名を刻み、世界中で支持されるかを、これ以上ない説得力で示した、文字通り圧巻のエンターテイメントSHOWだった。数年前に同会場(さいたまスーパーアリーナ)で観たマドンナのステージをも超えるものと言っても過言でないかも知れない。これが、現在のポップシーンの最先端なのかと思い、脱帽するしかない。

前方ステージには巨大な目の形をしたスクリーン。湾曲した花道が備え付けられたステージ。暗転と共に、花道の先端に登場したケイティ。最近はトレード・マークだった黒髪長髪から、金髪短髪になった彼女。黄金の鎧を身に纏い堂々の登場である。イメージを覆す逞しい姿で、アグレッシブな印象を受ける。

最新作『Witness』のツアーでありながら、新曲の披露を極力抑え、自身のヒット曲を連投。2010年代の世界を彩ってきた「Dark Horse」「Teenage Dream」「California Gurls」など、これ以上に無い完璧なセットリストで魅了してくる。重厚なギター・ロック風にアレンジされた「I Kissed A Girl」など、各々の楽曲のアレンジも秀逸で、生身の演奏に唸るしかない。ラストの「Part Of Me」「Swish Swish」「Roar」の流れも完璧で、アンコールの「Firework」で紙吹雪が舞い、花火がボンボン上がり、ピークを持ってくる。何の曲をどこで見せるかが非常に計算付くされたセトリだと思う。

やはり何が凄いかと思えば、最新作『Witness』の中でのリード曲「Bon Appétit」「Swish Swish」が既存の人気曲に聴き劣りしていない(それどころか新曲で盛り上がる)ことに、現役感を覚える。ちなみに、「Bon Appétit」では、ジャネット・ジャクソンの「What Have You Done for Me Lately」のマッシュアップを披露。既に人気曲を複数持っている人気歌手にとって、それらと並ぶ(もしくは超える)ヒット曲が出にくいのは世界共通の懸念点であるが、彼女には関係ないようだ。




音楽ライヴが総合芸術に成り得ることを証明した、まるでシルク・ド・ソレイユの舞台を観ているような感覚だった。LED大スクリーンの映像や、セット、衣装など、デザイン・コンセプトが徹底しており、すこぶる煌びやかで、まるでSF世界のような異空間を作り上げる。それに加えて、コーラスダンスばりの徹底されたダンスで盛り立てるダンサーの動きの精巧さがシュールで、よりステージの非現実性を際立たせている。ポール・ダンスや、球体の上で腕一本で乗るなど肉体を駆使したパフォーマンスもサラッとその中で、ケイティは決して余計な自己主張はしない。あくまで、この総合芸術の一部に溶け込んでいたようにも見えた。

digitalspy.com/music/news/a525544/

観客のひとりをステージに上げるサービスもし、会場を和ませる。この日は、全身ピンクのドレスを纏った男性を選んでいた。ハグやペットボトルをプレゼントしたり、セルフィを撮ってほしいという要望も受け入れたり、随分と高待遇に会場から悲鳴に近い、羨望の歓声があがる。彼がゲイなのかどうなのかは大きなお世話だろうが、会場にはドラッグ・クイーン顔負けの派手な女装(ケイティ意識で見事に暴走した結果)をした、明らかにLGBTを隠さない人も大勢いた。ケイティは、そういった層からの人気も高いようで、マドンナやカイリーの人気と似通う部分がある。LGBTに支持される女性シンガーは大成する。ケイティも新時代のそういうアイコンになるのかな?(笑)

MVでコントを披露することも多々あるように、彼女はどこか三枚目を演じがちだ。それこそケイティの計算高さだと思った。彼女は自分をどう「見せるか」でなく「見られるか」を意識しているようだ。ありのままでなく、人から求められている自分像を演じている。本当はもっとフェミニンだろうし、リベラルな主張もしたいだろうし、セクシー路線もいけるだろう(この日のド派手な衣装の数々を着こなせるスタイルを持っている時点で自信は相当あるだろうけど)。テイラーが強い自己主張の元で曲を書き、ステージでも如何に自分を際立たせるかというビヨンセ的な発想だったのと比較すると、随分と献身的でサービス精神旺盛さを感じた。それこそ、彼女が現役ポップ・シンガーとして、トップに君臨する由縁なのだと思った。

(文・ROCKinNET.com編集部)
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