エディ・マーフィー版ありきで物語は進められるので余計な説明は無し。動物の話すことが分かってアタフタするのも無し。その分、女王の病を治すための果実を求める旅に比重が置かれ、前作が現代劇でコメディの枠に収まっていたのが、さらにスケールアップされ、冒険活劇として十分に楽しめる素敵なファンタジー映画として昇華されていた。
また、本作では、動物たちにもスポットライトが当たっており、聡明なオウム、気弱なゴリラ、寒がりのシロクマ、皮肉屋なダチョウ、気性の荒いリスなど、各々のキャラが際立っており、動物たちを見るだけでも楽しい。それらを、エマ・トンプソン、トム・ホランド、ラミ・マレック、セレーナ・ゴメス、オクタヴィア・スペンサー、マリオン・コティヤール・・・・・・と、ハリウッドを代表する俳優達が声優を務める贅沢さが嬉しい。
アベンジャーズで映画史に名を残したロバート・ダウニー・Jr.がMCU卒業後に選び、製作総指揮まで務めた本作は計り知れない思い入れがあったに違いない。
ワールドプレミアで、ロバートは「原作も昔から読んでたし、エディ・マーフィーの映画も素晴らしい。新しい挑戦をするにピッタリだった」と意気込みを語ったが、ロバートを象徴する映画に相応しい爽快作に違いない。
猟師の家で育つも動物を傷付けることを厭う少年が、獣医のドリトルに憧れ、助手を名乗り出るも、危険だから辞めろと諭す場面は、まるでトニー・スタークとピーター・パーカーを彷彿とさせる。スタークも成金主義で世間に無関心な発言をしたり、ドリトルも妻を航海で亡くし世捨て人となるなど、どちらも浮世離れした大人。そんな両者が、自分の苦い経験を語り若者を諭す共通項があるのも偶然にしては出来過ぎている。もしかしたら、ロバートは、アメコミやファミリー映画に出演することで、若い世代に何か訴えたい、映画に教訓めいたものを残したいと思っているのではないか?(あくまで妄想ですけどね)
しかも、何故かこの人が言うと、自己犠牲的で説教臭くないところが良い。ロバート・ダウニー・Jr.の素敵なところでもある。かっこいいミドルって事なんだろう。
本来は春休み映画として大々的に上映されるはずだったのだろうけど、コロナ禍によって上映は延期されてしまった。けど、気分が落ち込む、この時期だからこそ、こういった老若男女が笑えて元気が出る映画って貴重でありがたいなと『ドクター・ドリトル』に改めて拍手を贈りたい。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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