映画レビュー

【映画レビュー】毒舌御免!糞にもならない糞映画『大怪獣のあとしまつ』



©2022「大怪獣のあとしまつ」製作委員会

三木監督のギャグセンスの無さが改めて証明されたようだ。思えば、『図鑑に載っていない虫』で唖然として、こういったクリエーターが重宝される業界のセンスに懐疑的になっていたのだが、やはり合わないものは合わないと胸張って主張したい。

時間を無駄にした!

※くれぐれも断言したいのは、下ネタや下らないネタを嫌うほど頭は固くは無い!
ただ単純に三木聡と笑いのセンスが完全にマッチしない、それだけのことである。

何がそこまでと言うのは、敢えてウ○コなど幼稚園児ノリで笑わせようとする姿勢があざとく興醒めである。笑いについてアレコレ言うのは野暮だと思う(それが、自分がM-1を見ない理由でもあるのだが)。この映画が笑いのツボだという人もいるはずだ。しかし、とにかく面白くない。それはシリアスでないからだと感じた。ハイテンションなYouTuberのように、悪ふざけします宣言をしている学生ノリがウザいのと一緒で、シリアスでない世界観の中ではコメディは映えない。それは、チャップリンや志村けん、シティボーイズや、三谷幸喜作品が証明していよう。彼らはコメディの中では実にシリアスである。そこで起きる理不尽のギャップに笑いが起きる。また、俳優がコント番組に出るのを見るが、本当に面白くない。あたかも笑わせてやるぞというスケベ根性が垣間見えることで冷めてしまう感じだ。



環境相を演じるふせえりが、国防相演じる岩松了を背負い投げするシーンがあった。それだけでも、浮世離れしているにもかかわらず、投げ飛ばされた岩松了はデスクを粉々にしながら着地する。もはや、コント以下である。あまりに現実離れした描写は胡散臭さしか感じないどころか、誠実さを欠いたものに思えて、受け止める気にすらならない。まるで、ギャグセンスのない会社の上司の飲みに無理矢理に連れて行かれて、笑えよという空気感を出される苦行の時間のような居心地の悪さだ。
それで、あのオチである。あれをやってしまうのなら、いわゆるアレの30分番組の冒頭数分で済むだけのエピソードではないか。主人公がアレなんだから。ネタバレ回避のために抽象的表現で申し訳ない。

なもんで、原発事故、緊急事態宣言などの風刺も空回り、西田敏行はじめ名優達の名演も虚しく、怪獣の死骸を後片付けするという、せっかくの斬新な設定も台無しだった。今年公開予定の『シン・ウルトラマン』でお口直しができるのが、待ち遠しくなった。腐った前菜と思うようにする。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※当記事の著作はROCKinNET.comに帰属し、一切の無断転載・再交付は固く禁ずる。


 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. ELLEGARDEN復活ライヴを観る!10年の活動休止の先にあった変わらない尊さ…
  2. アナタが行くヤツ、それ本当にフェス?フジロックが世界の最重要フェス3位に選出!
  3. 実は失敗していたサザンの紅白!ユーミンとの奇跡の共演に助けられ拍手喝采!
  4. サザン40周年ライヴをLVで観る!~親近感こそサザン最大の魅力だと再確認する~
  5. 【追悼】アメコミ界の巨匠スタン・リー逝去~映画カメオ出演を振り返る~

関連記事

  1. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】マグニフィセント・セブン

    原作があまりに名作だとハードル高くて困るよね?笑『七人の侍…

  2. 映画レビュー

    『デス・ウィッシュ』ヘイヘイドクター!ヘイドクター!ブルース・ウィルス外科医に見えない!

    本当にメスよりも銃の方が断然似合う男だ。逆にブルース・ウイルス…

  3. 映画レビュー

    『僕のワンダフル・ジャーニー』気持ち良い涙が流せた素敵な続編☆

    まさかの続編も号泣必至の心温まる感動作!続編は犬中心ではなく、…

  4. 映画レビュー

    帰宅部の高校生観て何が楽しいんだよ?虹色のはずなのに虹色じゃなかった『虹色デイズ』

    中川大志が主演じゃないという前提条件を把握してないと戸惑うことにな…

  5. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】この世界の片隅に

    日本という国が、この映画が口コミで好評を呼びヒット…

人気の記事

[PR]
  1. 映画レビュー

    『アベンジャーズ/エンドゲーム』 映画史に残る大傑作にして娯楽の頂点だ!
  2. 映画レビュー

    『娼年』の実写化で性に真剣に向き合った監督と、素っ裸で腰振りまくった松坂桃李に敬…
  3. ハリウッド

    『君の名は。』遂に北米公開で絶賛の嵐!
  4. ライブレポート

    13年ぶりロッキンに出演したサザンが凄かった!ROCK IN JAPAN史上最大…
  5. 映画レビュー

    『ブラック・パンサー』を観た!社会風刺と娯楽性が融合したマーベルの新傑作が誕生し…
PAGE TOP