映画

【考察】『ミッドサマー』は、なぜ想定外のヒットを飛ばしながらも悪評高いのか?



© 2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

アリアスター監督の『ミッドサマー』が思わぬヒットを飛ばしている(コロナ禍で新作映画が公開延期になっているという理由もあるが)。想定通りの、二度と見たくないと断言したい胸クソ映画だったが、これまで多くのホラー映画を観てきた身としては、『SAW』とか『ハンニバル』のような全身の毛が逆立つほどのインパクトも何も無かった。自分の倫理観に無い気味悪い文化を見せつけられただけの苦行であり、おそらく来年には忘れてるほど内容も無かった。
各映画レビューサイトのクチコミには、「トラウマ映画」だとか、「カウンセリングが必要」「食欲が無くなる」「三日三晩寝れない」などという感想をチラホラ見かけたが、いちいちがオーバーである。

んな、たいしたことはない!

けど、思い起こせば今年のアカデミー賞のオープニングで、ジャネール・モネイが、この祝祭の衣装を纏って登場したり、大学の出し物で頭に花飾りを被るなど衣装を真似したり、人気ゲーム「あつまれ動物の森」でミッドサマーの世界観を作ろうとしたり、ミッドサマー現象がチラホラではあるが起こった。では、何故この『ミッドサマー』は話題となりつつも悪評が高いと相反する現象が起きたのか? 通常、悪評高ければ、継続的なヒットはしないもんで、少し考えたくなった。



日本の映画興収は、邦高洋低と言われて何年も経つ。
テレビ局が映画界に乗り出し、映画撮影所で無く漫画原作やアイドル映画のような、毒にも薬にもならない映画が増えた。その中でも血糊を多様した若手俳優の登竜門でしかない表面的なグロ映画もあるが(最近では『十二人の死にたい子供たち』とか『シグナル100』とか)、ここまで精神的に苦痛を与える映画は無い。

アリ・アスター監督と言えば、自慰行為を覚えた少年がいて、それを母親が責めたのだが、父親が「年頃の男の子は皆そうだ」と諭し、一家団欒になったかと思えば、その自慰のオカズが父親の写真だったことで家族に亀裂が生じていくという短編を撮る程の変質者である。我々の常識で語れるほどの良識的な人間じゃ無い。
そんな「映画秘宝」で特集されるような、常軌を逸した映画、本来は場末のミニシアターでひっそりと上映されるべき作品なのに、超娯楽作と大差ないほどの公開館数でやってしまったのが、そもそもの間違えだった。前作『ヘレディタリー/継承』がホラー映画として一部のぶっ飛んでる映画ファンから評判を得て、それに調子づいた配給が頑張って公開館数をMCU映画ばりに増やしちゃった。
で、予告も何となくアートチックで面白そうと観に行ったら、「思ってたのと全然ちゃ~う!」と、クチコミで変に話題となり、本来はこの手の映画のターゲットでは無い層が続々と騙されるという誤算があったと見る。本格的な変態映画の耐性はないんだ、日本人の特に若い世代は! 『進撃の巨人』『東京喰種』程度の漫画でさえグロイと言うのだから。



中には背伸びして、趣味の悪い者を受け入れてる俺って格好良くね?って人もいるかも知れないけど、この映画を受け入れるのは相応に変質者だ。←表面的には褒め言葉で言ってるけど、ごめん、ほぼ本心だ。
このように、怖いもの見たさで客を惹き付け、見事に一般層まで拡大させて、且つ嫌な思いをさせた配給の作戦勝ちこそ、悪評ながらもヒットするミッドサマー現象に他ならない。騙された方は迷惑な話ではあるが、今回でウンザリした方に朗報だ、次のアリ・アスター監督作は4時間にも及ぶ、コメディだそうだ。けど、この人の笑いのツボって絶対に一般的な良識を持つ我々とは異なるんだろうな、以後、気を付けて下さい。今回のヒットで公開館数がまた増えると思うから。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。



◆関連記事◆




 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. ノエル兄貴「ロックが衰退したのは『フレンズ』が原因」と独自の分析を披露!
  2. 安室奈美恵の引退への想い~安室という現象が現代の日本女性像を変えた~
  3. 遂にNYタイムズ誌まで?ガキ使の黒塗りメイク批判は行き過ぎだと思う理由!
  4. サザン40周年ライヴをLVで観る!~親近感こそサザン最大の魅力だと再確認する~
  5. 『茅ヶ崎物語 ~MY LITTLE HOMETOWN~』からサザンがエロスを歌う…

関連記事

  1. 映画

    『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』の予告編が遂に公開!

    また彼女たちに会える!見逃せない熱狂のラストステージが開幕!『…

  2. ハリウッド

    『ジョーカー』の怪演で早くもオスカー最有力のホアキンは賞嫌い?

    ジョーカーを演じるには特殊なエネルギーが必要早くも来年のオスカ…

  3. 映画

    若者の映画離れ・鑑賞料値上げも関係ない!2019年映画興収が過去最大を記録!

    映画不況なんて嘘っぱち!2019年興収が過去最高に!先日、若者…

  4. ハリウッド

    『マイティー・ソー バトルロイヤル』を楽しむための豆知識をちょこっとだけ紹介!

    シリアス路線からコメディ路線に大きく舵を変更したことで興収的にシリ…

人気の記事

  1. 邦楽

    勝手に選ぶ素晴らしい邦楽たちTOP10 2017
  2. ハリウッド

    【ヒットの勝算はネット戦略にあり?】恐怖のピエロ映画『IT』が公開第三週で興収首…
  3. 映画レビュー

    想定外のラストに衝撃!『アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー』で初めてアメコ…
  4. ニュース

    【フジから若者が消えた?】フェスの“聖地”フジロックが中高年化している問題。若者…
  5. ニュース

    またもコンサート会場が狙われる「米国史上最悪の銃乱射事件」から音楽ライヴ運営の将…
PAGE TOP