映画レビュー

『キングスマン ゴールデン・サークル』エグさ健在!カッコ良さ健在!続編大成功!

(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

アクションの描き方も相変わらずの巧さだし、それに伴う音楽の使い方もハイ・センスで流石である。また、前作からの設定の踏襲が巧く、ファンサービスも抜かりない。『キングスマン』の続編、大成功のようである! 英国スパイという偉大な名作シリーズたちによって使い古された設定を、少年漫画的なノリでハイテンションに描いたことが吉と出ているし、続編であろうと、パワーダウンしていない。こんなカッコ良い秘密兵器があったら面白いのにと思えるガジェットの数々に少年心がくすぐられる。鞄が銃と盾兼用とか、最高過ぎるし、そんな浮世離れ感が素晴らしい!

特筆すべきは、エグい描写が健在な点。このマシュー・ボーンという監督は、どうしても映画に暴力を取り入れたいらしい。しかも、その描写が“ポップ”なことが特徴的だ。前作から気が付いていたが、水戸黄門の如く、どんなに残忍な行為であろうとも血が出ない。人が真っ二つに切られようが、ハンバーグだろうが。
タランティーノが同じことやれば目を伏せたくなる映像になっただろう。暴力のポップ化に是非はあろうが、個人的には暴力描写のリアリティは求めていないので、この程度が調度いい。悪趣味だとは思うけど。頭破裂が色彩豊かな花火で良いわけだ。
結局、タランティーノは暴力を描きたくて仕方ないのに対して、この監督は、ただの悪戯心?遊び心?で“刺激物”を描いてるだけのことなのだと思った。もし、そんな刺激物が無ければ、キングスマンは、『007』や『ジェイソン・ボーン』の英国産傑作スパイ作品よりも劣るものになっていただろう。スパイ映画の中で良い意味で異彩を放っているのは、一種のコミカルさの中にある、暴力描写・毒っ気ありきのことなのだと思う。

ただ、この監督の善悪の描き方は非常に面白くて、前作の悪役であるサミュエル・L・ジャクソンは地球の温暖化・環境汚染は人間のせいだと主張し、ウイルスを退治するために人間は発熱すから、ウイルスは駆除しなければならないと言った。本作での悪役は、薬物に手を出した人間による犯罪で配偶者が犠牲になったからこそ、麻薬常習者は駆逐すべきだと言った。分からなくもない。敵役の悪事の理屈が「一理ある」ことが実に皮肉である。そこが巧いと思った。

そして地球規模の危機を描かせることにも長けている。前作では携帯端末のSDカードによって人間が凶暴化し、争い合うのに対して、今回は何億人が手にしただろう薬物に毒を仕掛け、世界中がパニックになった。『007』や、『ミッション・イン・ポッシブル』など、お馴染み歴代のスパイたちは秘密裏に世界を救っているのに対して、『キングスマン』は規模がデカイ。だからこそ、事件が解決した時のカタルシスも大きく、また、映画自体の規模感にも圧倒される。これは既に一作目からそうで、出し惜しみが無いのが素晴らしい。監督自身もこう言っている・・・・・・

「ほとんどの続編がやるように、規模を“大きくする”というのは間違いだ。僕たちはキャラクターはそのままに、彼らがたどるエモーショナルな旅路をより強いものにした」
引用:cinematoday.jp/news/N0097428

続編は前作を超えないといけないと呪縛から、無駄に力んで空回ることが多々あるが、『キングスマン』がそれに陥らなかったのは、一作目から出し惜しみなくド派手にやちゃって、二作目もその期待に沿って同じハイテンションを維持させたことが成功の鍵だと思った。
ただ、前作の主要人物がやられ過ぎ。そこは残しとけよって思う人物さえも、あっけなくやられてしまうのは勿体無い気はする。シリーズというのは、主役以外に、名脇役あってのシリーズだと思うからだ。(既に三作目とスピンオフの制作が動き出しているらしい)

そして、エルトン・ジョンの扱い方が反則だ。あれでも大英帝国勲章受勲者、ビートルズと肩を並べる偉大なアーティストだ(笑)日本で、矢沢永吉や桑田佳祐が同じことをやるか?と考えたら・・・・・・よくも、まぁ、あそこまではじけたもんだ。ロンドン五輪の開会式でジェームズ・ボンドに連れられてエリザベス女王が空からスカイダイブする演出をするとか、権威に対して、考え方が固くないのが英国のいいところだと思った。遊び心があるっていうのは素敵だ。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. サンボマスター vs My Hair is Bad 男どアホウ夏の陣!日本ロック…
  2. 【大混戦】#TimesUp運動の影響で本年度オスカー主演男優賞はティモシー・シャ…
  3. 初の武道館公演を控えるマイヘア椎木ってナゼ好かれるのか?彼の魅力を挙げてみる!
  4. またもコンサート会場が狙われる「米国史上最悪の銃乱射事件」から音楽ライヴ運営の将…
  5. UVERworldの男祭り遂に東京ドーム実現!でも女性CREWからブーイング?

関連記事

  1. 映画レビュー

    群像劇の大傑作『パトリオット・デイ』を観て感じるテロ時代のリアル

    これぞ、刑事映画だと太鼓判を押したくなるような大傑作だった。この映…

  2. 映画レビュー

    帰宅部の高校生観て何が楽しいんだよ?虹色のはずなのに虹色じゃなかった『虹色デイズ』

    中川大志が主演じゃないという前提条件を把握してないと戸惑うことにな…

  3. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】ムーンライト

    黒人による黒人への差別と迫害・・・アメリカでは黒人以上に同…

  4. 映画レビュー

    【映画レビュー】これぞ映画!『トップガン マーヴェリック』大傑作続編!

    これぞ、映画!これぞ、娯楽!懐古主義に走るでもなく…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. ライブレポート

    COUNTDOWN JAPAN 1718 4日目ライヴレポート
  2. 邦楽

    KEYTALKの八木氏はナゼ愛されるのか?その無敵な愛嬌の謎と八木氏のドラムテク…
  3. ライブレポート

    安室奈美恵の引退ツアーを観る!世界中の賛美を彼女に贈りたい!
  4. ハリウッド

    【YOUTUBE誕生のきっかけ】来年2018年のハーフタイムショーはジャスティン…
  5. 映画

    是枝監督『万引き家族』がカンヌで最高賞!カンヌにおける日本映画の歴史と、今回の受…
PAGE TOP