
Columbia Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ
全世界で興行的に特大ヒットを飛ばしている『スパイダーマン:ホームカミング』の公開と日本でのヒットもを受けて、地上波では過去の『スパイダーマン』シリーズが放送されている。しかし、本来この時期というのは、もとは前シリーズ『アメージング・スパイダーマン』の幻の第三弾が公開される時期でもあった。しかし、『アメージング』の方は打ち切りという結果に終わり、『アベンジャーズ』絡みで展開される新しいスパイダーマンが再始動することになる。
たまたま今日、風呂上りに日テレを付ければ『アメージング・スパイダーマン2』がやっていたので、久しぶりに観てみれば、確かに『ホームカミング』とはテイストが違うにせよ、そんなに悪いかと言われれば首をかしげずにはいられない。普通にアクション映画としては上出来ではないか。果たして、この映画の何がいけなかったのか? 打ち切りの原因を多角的に検証していきたいと思う。
北米の興行収入
1.スパイダーマン・・・4億370万ドル
2.スパイダーマン2・・・3億7350万ドル
3.スパイダーマン3・・・3億3653万ドル
4.アメイジング・スパイダーマン・・・2億6203万ドル
5.アメイジング・スパイダーマン2・・・約2億2000万ドル
全世界の興行収入
1.スパイダーマン・・・8億2170万ドル
2.スパイダーマン2・・・7億8376万ドル
3.スパイダーマン3・・・8億9087万ドル
4.アメイジング・スパイダーマン・・・7億5221万ドル
5.アメイジング・スパイダーマン2・・・7億898万ドル
まずは、興行収入面だ。上記の表をご覧になれば分かる通り、北米では『アメージング』になった途端に1億ドル近くも減っている。全世界的にも減ってはいるのだが、そこまで大きな下落とも言い切れないようだ。要するに、『アメージング』は本来原作ファンが最も多いはずの本国アメリカ人に受け入れられなかったのだ。特に『アメージング』の第二弾に関しては制作費が4億ドルもの高額にもなっているため、北米だけでは大赤字。これが、『ホームカミング』(新プロジェクト)への拍車をかけたことになるのかも知れない。
打ち切り理由その1
スパイダーマンがイケメン過ぎる
では、何故そこまでして『アメージング』は嫌われたのか? ここからは個人的な見解に因るところが大きいが、検証していこうと思う。今日の『アメージング』第二弾を観てて思ったのは、まず、やはりスパイダーマンがイケメン過ぎる。アンドリュー・ガーフィールドの長身、足長、パリコレ並みのスタイルは、スパイダーマン的ではない。まして、実際に恋人関係にもなったエマ・ストーンとの恋愛模様など、もはや『ロミオ&ジュリエット』。美男美女過ぎる。スパイダーマンはもっと冴えない感じでいい、いやそうじゃなければならないのだ。

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先日も同様のことを言ったかもしれないが、主人公ピーター・パーカー像というのは何か? 改めて確認しておきたい。
- 冴えない、非モテ男子
- 草食系でインドア男子
- 童貞
- イケメンではない容姿
そう、スパイダーマンは敢えてダサさを選ぶところに、真のカッコ良さ(身近なカッコ良さやヒロイズム)を感じる存在と言って過言ではない。だからこそ、最初のサム・ライミ三部作のトビー・マグワイアの評判はすこぶる良かったし、今回の『ホームカミング』のトム・ホランドのハマり具合には心から拍手したいと思うほどなのである。
打ち切り理由その2
スパイダーマンの正体がバレ過ぎ
もうひとつ、『アメージング』で“やちゃった”のは、あまりに素性がバレ過ぎ。主要人物が死に過ぎだった。第三弾の構想がどんなものにせよ、第二弾でヒロインを死なせる必要性は感じなかった。なんにせよ、全体的にトーンが暗い。ヒーロー映画というのは、その正体がバレないことに、美学すらある。ヒーローの活躍というのは、その大半が利他的主義に因る。正義感だけで動いている。どこかから寄付金が出るわけでは無い。もちろん、戦闘時以外の身の安全を守る為などの諸々の理由もあろうが、自分への物理的利益無くして他人を守るのに、自分の正体を暴露して「俺がやってるんだ」というのは、どうも美しくない。個人的には、これが最も腑に落ちる。だからこそ、正体はバレないに越したことは無いというのが守れなかった『アメージング』には些か違和感を感じたのだった。
打ち切り理由その3
ソニーとマーベルが連携した

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これが打ち切りの本当の理由とされているが、もともと『スパイダーマン』の映画化権利を所有していたソニー・ピクチャーズと、漫画の版権を所有するマーベルの提携が決まったため、マーベル・シネマティック・ユニバースに組み込んだ新たなスパイダーマン映画(『ホームカミング』のこと)を作ることになったのだ。もっと言えば、スパイダーマンの知名度と人気は『アベンジャーズ』の、他のどのキャラクターでも敵わないほどのレベルであり、早めに映画化はしたかったと思われるが、それが出来なかった理由が、版権の問題であった。『アメージング』の時はソニーとコロンビアが権利を擁していたので、マーベル映画として制作されることなど夢物語であったが、金持ち喧嘩せずか? 赤字ギリギリの『アメージング』を続けるくらいならと打ち切りになったのが一番有力で最もらしいと言ったら、それまでだろう。
幻の『アメージング』第三弾とは
すでに第3弾のアイデアはあったという『アメージング・スパイダーマン』の監督は「(『アメージング』第一作目の敵役である)クリス・クーパーにカムバックしてもらい、ゴブリンを演じてほしかったんだ。彼を冷凍保存しておいて蘇らせるつもりだった。」とメインの悪役にはゴブリンを考えていたとコメント。また、そのゴブリン率いる犯罪組織“シニスター・シックス”をメインに据えたスピンオフ『ザ・シニスター・シックス』も構想されていたという。なんとも面白そうな企画だっただけに、白紙になるというのも惜しい話ではあるが、視聴率不振でドラマが途中で強引に終わってしまう国でもある。映画の赤字に構ってる暇もないのかも知れない。
(文・ROCKinNET.com編集部 よっしー)
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