映画レビュー

二番煎じ・既視感満載だけど主演のアリシアが可愛いから許せるアンジー版の前日譚『トゥームレイダー ファースト・ミッション』

© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.


アンジェリーナ・ジョリーが演じて世界で大ヒットを記録した『トゥームレイダー』から17年も経つと聞いて驚愕する。当時それを観たのが大学生だったから、うん、悲しいかな、計算は合ってるわ。時は残酷だな、年齢重ねるの早過ぎるわ。ってことは、同時に、アンジーも婆さんになる。
それほどの昔の映画だ。現代に、どう蘇らせるのかに興味があった。年齢のこともあろうが、もはや大女優となり、製作も手掛けるなど映画人として格が上がったアンジーが出演する訳ないのは想像に易いが、そこを若手女優アリシア・ヴィカンダーを起用して、一作目の前日譚として描いたことに「なるほど」と思った。

スーパー戦闘ウーマンである、ララ・クロフトが、まだ何者でもない時代を描いているので、ゲーム原作だけにメカニック的だったアンジー版で描かれ切れていなかった主人公の人間性や生い立ちまでも掘り下げられていたのが本作を観て良かったと思える発見であった。単なるアクション映画に、人間ドラマとしての深みを出させた時点で及第点と言えよう。

ただ、やはりReBorn作品の宿命ではあるが、二番煎じ感は否めなかった。そもそもがアンジーは女版インディー・ジョーンズをやっていたし、さらにそんなアクション・シーンの焼き直しのようなものが多かったので、既視感が満載で、正直寝てしまったんだよね。いや、この時期は花粉症(重症です)の薬の副作用との格闘なので、映画観るにも、ひと苦労で。中途半端なものだと一気に寝落ちる。ただ、最初と中盤とラストを観てるので、全編見てなくても、ストーリーは察しが付く。言ってみれば、その程度の話でしかない。
ただ、アリシアの鍛え上げられたボディは見事だったし(腹筋割れてたし、それがセクシーだったし・・・・・・男目線)、若さがゆえに勢い余るアクションには目を見張るものがあって、素晴らしい女優さんだなと感じた。可愛らしいルックスからは想像できない肉体にはギャップ萌え(笑)




けどね、いきなり卑弥呼が魔女で人々を破滅させ、YAMATAIって孤島に島流しにされるとか、歴史認識的にもデタラメもいいところだって設定に唖然茫然とするも(後半で弁解はされるけど)、このように日本が舞台なはずなのに、俳優も中国系アメリカ人だし、いきなり香港行くし、何故か中国ツアーをしている感覚で、japan要素一切なしなのが如何なものかと。それなら卑弥呼じゃなくて楊貴妃の設定で良かったんじゃないか?

事件も解決し、人類滅亡を企む影の組織の存在も浮き彫りになるという、続編ありきのような終わり方をしたので、否応でも三部作程度のシリーズになるんだろうけど。若手女優がアクションに奮闘して、巨大な陰謀と対峙し競っていく設定自体が、どこか『ハンガーゲーム』や『メイズランナー』や『ダイバージェント』のような、ディストピア原作の映画のテンションだなと感じた。というか、もはやソレ。ディストピア化は真逃れそうもないので、公開時期のスピードアップを望むのと、ただ自然の中で飛んだり跳ねたり弓を打つようなありきたりなアクションではない、オリジナルの展開を強く望む。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 安室奈美恵の引退ツアーを観る!世界中の賛美を彼女に贈りたい!
  2. 【速報ライヴレポ】ハリー・スタイルズ初ソロ来日公演を間近で観た!彼こそ時代の寵児…
  3. 2018年も大活躍間違いなし“次世代イケメン俳優”を青田刈り!
  4. 年収50億のジョニー・デップが破産寸前な理由とは!~お金について考える
  5. 『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』の功績は神話をオリジナリティをもって進展させ…

関連記事

  1. 映画レビュー

    【音楽だけ】MVのような薄っぺらい映画『グレイテスト・ショーマン』なんかで感動してる場合じゃない

    薄っぺらい映画だった。こういうのを観て「夢を追うことの大切さを学ん…

  2. 映画レビュー

    『亜人』日本漫画の過激性という欠点をハリウッド的なアプローチで見事にカヴァー

    興味深かったのは、この映画には善悪が無かったことだ。不死身の体であ…

  3. 映画レビュー

    『IT/イット “それ”が見えたら終わり。』久々の娯楽ホラーの成功作!

    北米で社会現象級の大ヒットを記録!アメリカでは社会現象級のヒッ…

  4. 映画レビュー

    近年のディズニーにハズレ無し!『ズートピア』で描かれる現代米国の縮図

    『ラプンツェル』以降、傑作を生み続け、『アナ雪』で何度…

  5. 映画レビュー

    『エイリアン:コヴェナント』種の誕生と起源に迫るスコット監督の鬼才に慄く

    本来のSFホラー回帰した、スコット監督の気迫が感じられる力作だ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. 邦楽

    松任谷由実「恋人がサンタクロース」がクリスマスは恋人と過ごす日という社会的呪縛を…
  2. ハリウッド

    世界で大ヒット中の映画『スパイダーマン:ホームカミング』の主人公トム・ホランドの…
  3. ライブレポート

    COUNTDOWN JAPAN 1718 3日目ライヴレポート
  4. ハリウッド

    今夏最大の話題作『パワーレンジャー』に同性愛描写で再び波乱の予感
  5. ニュース

    エルレ細美が「待った!」転売野放し・・・チケットだけじゃないライヴ物販問題を考え…
PAGE TOP