映画レビュー

近年のディズニーにハズレ無し!『ズートピア』で描かれる現代米国の縮図

image source:http://www.imdb.com/title/tt2948356/mediaviewer/rm3025811968
© 2016 Disney. All Rights Reserved.


『ラプンツェル』以降、傑作を生み続け、『アナ雪』で何度目かの黄金期を迎えていることを確証したディズニー映画。今回も大傑作!ハズレがありません!
キャラの造形のインパクトも薄く、面白みに欠けるかなと思っていたのですが、早々に観なかった自分を恥じたいくらいです!

まず、草食動物と肉食動物、この共存を動物たちの<進化>としている設定が面白いです。肉食動物が草食動物を狩るなんて石器時代の話だとか。しかし、その設定が揺るいでしまうわけです。少数の肉食獣が野性化してしまう現象が発生・・・そこには大きな陰謀が!と伏線が散りばめられており、娯楽作として一瞬の隙も見せないほどの完璧さを体現させています。
これまでの我々の印象として、ディズニーなら野生の摂理なんて無視しても許されるもんです!そもそも、ミッキー(ネズミ)が、プルート(犬)をペットとして飼ってるわけですから(笑)
しかし、この映画の勝算は、そういったご都合主義を廃したことにありました。

しかも、そのことでズートピアに在住する動物の大半を占める草食動物による、肉食動物への差別にまで発展する・・・といった社会的なテーマ性まで描いております。昨今の米国は、特に、警官による黒人への暴行や、女性の社会的地位向上、同性婚などマイノリティへの理解や立場向上が叫ばれています。また、トランプ氏という差別主義者が米国大統領になってしまうかも知れない状況に一石を投じているようにも思えます。
制作されていたのは今回の大統領選よりもだいぶ前の話なので、制作サイドにそういった意図がないのは確かだと思いますが、<いま>観るべき映画だと思います!

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 何故「バルス現象」は起きるのか?その理由は日本特有の国民性と風土にあった!
  2. 『いぬやしき』興行失敗で垣間見える漫画原作映画の限界~世間はエグさに飽きている
  3. 実写化史上最も成功していると言って過言でない『美女と野獣』に感動する
  4. ELLEGARDEN復活ライヴを観る!10年の活動休止の先にあった変わらない尊さ…
  5. 遂に日本国内興収100億円突破!『ボヘミアン・ラプソディ』はアカデミー賞を獲れる…

関連記事

  1. 映画レビュー

    『スプリット』多重人格を演じきったマカボイの怪演以上に驚くラストに注目!

    M・ナイト・シャマランという映像作家は不幸な作家である。20代にし…

  2. 映画レビュー

    『検察側の罪人』ようやく見れた英雄以外の汚れたキムタク!

    この映画の最たる存在意義は、ジャニーズによる本格的な社会派であると…

  3. 映画レビュー

    『ジェミニマン』役者若返り達成!リー監督による技術への飽くなき追求に驚愕する!

    役者の若返りが遂に達成された革命的映画だ!『ベンジャミン・バト…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

  1. 映画レビュー

    勝手に選ぶ今年良かった映画TOP10 2017大発表!
  2. ライブレポート

    【即日ライブレポ】KEYTALKの横浜アリーナ公演は到達では無く“門出”だった!…
  3. 邦楽

    【全曲レビュー】桑田佳祐の最新作『がらくた』が凄過ぎた!大衆音楽ここに極まり!
  4. ハリウッド

    【報酬額予想】相当稼いだだろう新スパイダーマンのトム・ホランドが確定申告で困って…
  5. ハリウッド

    世界で大ヒット中の映画『スパイダーマン:ホームカミング』の主人公トム・ホランドの…
PAGE TOP