ライブレポート

サザン40周年ライヴ千秋楽を観た!「ふざけるなツアー」のセトリがコアな選曲だった理由とは!?

© ROCKinNET.com

2018年6月25日にサザンはデビュー40周年を迎えた。ファンはどんなスペシャルな活動が発表されるか首を長くして待っていた。しかし、全国ツアーは翌年春とのアナウンス。それまで周年は夏に大規模ツアーを敢行していただけに戸惑うファンは多かった。実質的には、その間にもNHKホールという小規模会場のライブ、13年ぶりのロッキン、紅白歌合戦と盛り沢山な活動を展開してきたわけで十分過ぎるほど充実した40周年だと個人的には思っているが。とにかく待望のツアーには違いない。その千秋楽に当たる東京ドーム公演を観てきた。

このサザン史上最大規模55万人を動員した全国ツアー『“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!?ふざけるな!!』で課せられたのは、まず周年ツアーの祝祭感の体現、平成から新元号にまたぐ意味合いの提示、マンネリズムと新サザンの調和だと思った。

蓋を開けてみれば意外な選曲に驚く。大半がマイナー曲で構成されたセットリストなのだ。
オープニングは今のサザンを象徴する曲と言っても過言でない「東京VICTORY」で劇的な幕開けをし、昨年リリースの「壮年JUMP」、ライヴ鉄板曲の「希望の轍」と続くものの、「欲しくて欲しくてたまらない」「古戦場で濡れん坊は昭和のHero」「JAPANEGGAE(ジャパネゲエ)」「女神達への情歌(報道されないY型の彼方へ)」「CRY 哀 CRY」とコアな選曲が目立った。後半で「シュラバ★ラ★バンバ」も披露されたが、これらの楽曲の共通項として、革新性を以てJ-POPの歌詞の可能性を広げたことが挙げられると思うが、この日のセットリストには、そんな桑田渾身の歌詞の楽曲が多かった気がする。本を読む人が減少傾向にあると言われ、大衆ソングも作文のような歌詞が持て囃されている時代への桑田の反骨が、今回の選曲のテーマ性にあると僕は思った。
個人的に高校卒業時(TSUNAMIが爆発的に売れた時)からファンなので彼是20年選手としては今回のコア選曲も嬉しい限りだが、サザンを初めて観る人も多かった(らしい)ので、曲の認知度の観点から言えば不親切だったと思う。
サザンという日本でもトップクラスを誇る知名度のバンドであれば、老若男女が各々でフェイバリット・ソングを持っていて、予習せずともライブは知ってる曲も多くて楽しめるだろうという根拠なき期待感が寄せられる。サザンの曲は200曲を超えるというのに。桑田は今回の周年ツアーで明らかにその期待とは違うアプローチをした。

[PR]


その理由を帰路ずっと考えていたのだが、ここで例の如く代表曲連発の周年ライブをやってしまうと、所謂いつものサザンで終わってしまう。桑田がそれに飽きている発言は以前ラジオでもしたことがあったが、多様な曲を披露するというのはサザンと向き合ってる証明でもあると思うのだ。
それと、何よりも30周年の活動休止時の日産スタジアムは観客に思い残すことはないと言わしめたベスト盤的選曲だったけど、それを今回やってしまうと「40年間お疲れ様でした会」のように総括的に括られ、懐メロバンドとして遺物化されてしまう可能性を嫌った桑田なりのズラしであると感じた。新元号になるタイミングだから尚更、意識したに違いない。サザンを伝説化させない、平成に置き去りにしない、王道を避けることで、あくまで現役を貫かんとするアグレッシブな宣言のように思えた。だから未完ながらも新曲もやった。この新陳代謝の貪欲さには感銘を受ける。

その一方で「マンピーのG★SPOT」ではお決まりのヅラを被り変態仮面の男性ダンサーに挟まれる(ロッキンと同じ演出だったが個人的には最高過ぎて好きだ)、「勝手にシンドバッド」でド派手に盛り上がるというマンネリズムも欠かさない。何十年も繰り返してきたことであるが、必ずと言っていいほど盛り上がる。変わらなくて良いサザンもあることを示した。スクリーンにはド派手な日本全国の祭りの映像やら何やら派手でカオスな映像が流れ、演出面からしてもアップデートされていた。40年前の曲が2020年に差し掛かろうとしている現代にも通じる魔法を見せられたような気がした。

当然、サザンの曲には一つひとつ想いが植え付けられている。大衆ポップの頂として楽しさを追求してきたサザンらしく嬉しくも楽しい思い出が多い。しかし、必ずしも嬉しいことだけでは無い。あの曲この曲を聴いていた頃を憂いたい思い出もある。喜怒哀楽いろんな感情が渦巻いた。どんなタイミングであろうと、人生の狭間にナイスなBGMを流し続けてくれたサザンは、人生そのものであるのだ。

ライブ終焉後に「次のサザンが観たい!」と思わせたサザンの完全勝利である。サザンの周年が終わるとソロ活動に走ってしまい寂しい思いになるのだが、しばらくはサザンの活動を充実化させていくという噂もある。本当に嬉しい。ソロ活動も応援しているし桑田名義の名曲も大好きだ。しかし、やはりサザンが好きなのだ。今年の夏はサザン無しの夏になりそうだが、41周年のサザンと共に再び人生を歩みたい。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

[PR]






[PR]

セットリスト
01.東京VICTORY
02.壮年JUMP
03.希望の轍
04.闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて
05.SAUDADE~真冬の蜃気楼~
06.彩~Aja~
07.神の島遥か国
08.青春番外地
09.欲しくて欲しくてたまらない
10.Moon Light Lover
11.赤い炎の女
12.北鎌倉の思い出
13.古戦場で濡れん坊は昭和のHero
14.JAPANEGGAE(ジャパネゲエ)
15.女神達への情歌(報道されないY型の彼方へ)
16.慕情
17.愛はスローにちょっとずつ(仮)
18.ゆけ!!力道山
19.CRY 哀 CRY
20.HAIR
21.当って砕けろ
22.東京シャッフル
23.DJ・コービーの伝説
24.わすれじのレイド・バック
25.思い過ごしも恋のうち
26.はっぴいえんど
27.シュラバ★ラ★バンバ SHULABA-LA-BAMBA
28.マチルダBABY
29.ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)
30.イエローマン~星の王子様~
31.マンピーのG★SPOT
アンコール
EN1.I AM YOUR SINGER
EN2.LOVE AFFAIR〜秘密のデート
EN3.栄光の男
EN4.勝手にシンドバッド
EN5.旅姿四十周年

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. ロック・イン・ジャパン2017 2日目ライヴレポート
  2. 13年ぶりロッキンに出演したサザンが凄かった!ROCK IN JAPAN史上最大…
  3. アナタが行くヤツ、それ本当にフェス?フジロックが世界の最重要フェス3位に選出!
  4. 遂にNYタイムズ誌まで?ガキ使の黒塗りメイク批判は行き過ぎだと思う理由!
  5. 半漁人の勝利!90回目のオスカー発表!

関連記事

  1. ライブレポート

    安室奈美恵を観た!

    今年は多くのアーティストが●周年記念だったそうなのですが…

  2. ライブレポート

    【エルレ、加山雄三にレッチリも?】FUJI ROCK FESTIVAL’19 聖地の維持…

    世界的アーティストから国内カリスマバンドまで充実のラインナップ…

  3. ライブレポート

    ROCK IN JAPAN 2015 vol.1

    ROCK馬鹿様、今年もひたちなかに降臨です!今年で連続…

  4. ライブレポート

    VIVA LA ROCK 2016で楽しむ♪

    今年で3年目となります埼玉最大級のフェス「VIVA LA …

  5. ライブレポート

    ROCK IN JAPAN 2018 3日目(2018/08/11)ライブレポート

    ロッキンも後半週スタート。3日目のライヴレポートを!先週よ…

  6. ライブレポート

    ONE OK ROCK「Ambitions Tour」幕張公演を見る!

    takaというロック・ミュージシャンは本当に馬鹿が付くほどに真…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

[PR]

人気の記事

[PR]
  1. 音楽

    2017年 俺が勝手に選ぶベスト洋楽 TOP10
  2. 音楽

    ジャスティン・ビーバー新曲のスペイン語が歌えず大ヒンシュクからのブーム化
  3. ハリウッド

    世界各国で記録的ヒットの『ブラック・パンサー』は何故ここまでの現象になったかを勝…
  4. ニュース

    【フジから若者が消えた?】フェスの“聖地”フジロックが中高年化している問題。若者…
  5. ニュース

    原爆シャツ騒動でMステ出演中止になったBTSが犯した罪とは?
PAGE TOP