ライブレポート

ROCK IN JAPAN 2018 3日目(2018/08/11)ライブレポート

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ロッキンも後半週スタート。3日目のライヴレポートを!
先週よりも多少は気温も下がっているように感じるが暑いに変わりはない。
今年のロッキンは過去最高動員に挑戦し、69,500人/日を記録しているという。チケットは全日ソールドアウトになったと公式サイトでは公表されているが、実はこの3日目だけはずっと売れ残っていた。けど、それも何故かなと思うくらい充実したラインアップだったし楽しめた。

●ナオトインティライミ

音楽が売れにくい時代、アイドル、バンドは次々と新しいスターが生まれていく反面、なかなか受け入れにくいのがソロの男性歌手だと思うのだが、そんなジャンルを牽引している懸命な感じが伝わって来た。歌やMCも申し分ない。ナゴヤドーム公演も決定したことを発表したので、十分に成功しているミュージシャンだと思うけど、時代さえ違えば、もっと売れている人なんだろうな~と思った。
「恋する季節」など代表曲を除いて、夏に映える楽曲で構成された、この日のライヴ。元からサッカー好きが高じてか、「The World is ours!」「カーニバる?」ラテン調の楽曲も多く、ロッキンに、夏フェスにこれほど似合うポップ・ミュージシャンもいないと思う。彼自身がボランティア活動に熱心がゆえに、西日本豪雨にも触れ、楽しい反面で、そのようなシビアな現実があることを、少しでも意識することを控えめに語りかけるところもにくい。ただの能天気なお祭り男ではない、真摯な態度に感銘を受けた。

セットリスト
M1 あの素晴らしい愛をもう一度
M2 いつかきっと
M3 ハイビスカス
M4 タカラモノ~この声がなくなるまで~
M5 The World is ours!
M6 カーニバる?

●Official髭男dism

シャツにベストで決め込んだ“草食系お坊ちゃま”の印象が覆った。ロッキンでも、最も小さいヒルサイドステージでの登場にも関わらず、想像以上に多くの人が駆け寄った、その前で、登場から客を煽る、煽る! 攻撃的なスタイルに驚かされる。(ボーカルの藤原は元はメタルが好きだということも影響してるかもしれない)
80年代チックなファンキーなグルーヴを今時ポップに昇華させた楽曲たちが楽しい。気付けば観客が総じて横ノリしていた。
ヘヴィなロックでも、軽快なポップでも変幻自在な楽曲の振り幅に目を見張る。その中で冴えるオートチューンが施されたヴォーカル。決して新しい手法ではないが、何故か今時に思わせるのは楽曲の質が高いがゆえか。月9ドラマ主題歌になった「ノーダウト」のイントロが流れるや大歓声が上がる。タイアップというのは分かり易い(笑)嬉しかったのは、それ以外の楽曲も引けを取らない程に質が高かったことだ。若いがゆえのパワフルさも感じ、パフォーマーとしても幸先楽しみなバンドである。

セットリスト
M1 コーヒーとシロップ
M2 異端なスター
M3 Tell Me Baby
M4 ESCAPADE
M5 ノーダウト
M6 SWEET TWEET


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●androp

フェス常連組になると、選曲やパフォーマンスの見せ方が変わり映えしなくなる傾向がある。しかし、彼らは毎年、新曲とテーマ性を持ってステージに立っている気がする。「Voice」「Yeah! Yeah! Yeah!」のような王道ポップで幕を開け、中盤にCreepy Nutsが登場し、andropらしいサマー・チューン「SOS!」で異種格闘的なコラボを披露。全てを優しく肯定するandropと、痛烈に物事の真意を突くCreepy Nutsの相反する二者の共生に賛嘆する。
終盤は山崎賢人主演で好評を呼んでいるドラマ『グッド・ドクター』主題歌「Hikari」でしっとり締め括る。今年のロッキンでのandropは“聴かせる”ことに重点を置いていた。それは新曲がバラードであることにも起因しているだろう。こういうセトリが組めるというのはプロだなと思う。《光に変えてゆくよ どんな暗闇も/夢見た未来が途切れないように》と、ひたすら優しく語りかけるように歌われたandropの歌詞は常に希望を見出す。心が浄化される思い。だから、彼らのパフォーマンス後は爽快さだけが心に残る。

セットリスト
M1 Voice
M2 Yeah! Yeah! Yeah!
M3 Joker
M4 Sunrise Sunset
M5 SOS! feat. Creepy Nuts
M6 Hikari

●KEYTALK

ここ数年間フェス・バンドの筆頭に君臨するKEYTALKが満を持して立つグラスステージ。これを遅いと捉えるか、早いと捉えるか? 観客数が何万人と規模が大きくなろうが、それに真っ向勝負できるほど、夏フェスに似合ったサマー・チューンは何曲もある。「Summer Venus」「MABOROSHI SUMMER」「YURAMEKI SUMMER」「MATSURI BAYASHI」と夏がテーマの楽曲が多いのは、メインで作詞作曲を行う首藤義勝(Vo/Ba)がサザンオールスターズの熱心なファンであることも起因してると言えよう。(義勝は、翌日のサザンの登場後に、興奮と感動の賞賛ツイートをしている)
案の定、会場はサークルやモッシュの嵐。ここは規模が大きくなろうが通常運行である。松岡修造との共演でも話題の某炭酸飲料CM曲で使用されている新曲「Cheers!」が王道的なポップだったのを鑑みると、KEYTALKは大衆バンドとして次の段階を目指しているのかも知れない。
俺が一貫して推している八木氏(Dr)は、少し不自然なほどの満面の笑顔だった気がするが、KEYTALK初見の人を魅了しようとしてたか?(笑)去り際に今日イチの大声で「八木ぃ~」と叫んで、振り返って手を振ってくれたこと、ここで感謝しますッ!

セットリスト
M1 桜花爛漫
M2 Summer Venus
M3 Love me
M4 MABOROSHI SUMMER
M5 パラレル
M6 YURAMEKI SUMMER
M7 MATSURI BAYASHI
M8 黄昏シンフォニー
M9 Cheers!
M10 MONSTER DANCE

●四星球

各地のフェスを荒らしまくっている四星球が国内最大級のロッキンをも完全制覇したようだ。映画『ライオン・キング』のOP曲が流れ、動物たちの面を付けて登場するメンバーだが、「まだサウンドチェックが終わっていない」と言う北島(Vo)。ステージには“ただいま”“サウンドチェック中”という二枚の看板が飾られる。そして、「たまに“ただいま”言うバンドいますけど、ここ森ですからね」と、バンドマンがフェスに出演しては何でも「ただいま」言う風潮を軽くdisる。
「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」や「クラーク博士と僕」などのお馴染みの楽曲で、これまたお馴染みの段ボールネタを駆使してフォレストステージを笑いの渦に巻き込む。新曲「言うてますけども」を、他の楽曲中に何度も挟むなど、隙が無い。細部まで拘った笑いには脱帽だ。残り時間僅かでようやく終わったサウンドチェック。看板も片付けられるが、“ただいま”だけ残される皮肉(笑)
コミック・バンドは取っつき易さもあるが、飽きられるのも早い。彼らが凄いなと思うのは、ネタが被らないこと。そして、段ボールの制作労力には感心している(笑)自分達をコミック・バンドと観客の前で堂々と宣言するには、相応の演奏力と楽曲の良さ、実力を要する。それをクリアしている四星球は無敵だ。ステージを降りることは無かったが(禁止されてたのかな?)またいつか大暴れした彼らを観れることが今から楽しみだ。

セットリスト
M1 鋼鉄の段ボーラーまさゆき(サウンドチェック)
M2 言うてますけども(サウンドチェック)
M3 クラーク博士と僕(サウンドチェック)
M4 楽屋泥棒始めました(サウンドチェック)
M5 妖怪泣き笑い(サウンドチェック)
M6 時間がないときのRIVER

●清水ミチコ

他のフェスでは出演もお馴染みとなり、既に武道館を満席にし、全国ツアーまで行う“ものまね界の女王”がロッキン降臨である。ロッキン程度のステージで物怖じはしないだろうと思っていたが、お得意の毒っ気と、申し分ないピアノの演奏力で、想像以上の音楽的なパフォーマンスを披露。冒頭からオリジナル・ソングを歌いながら登場したと思いきや、口パクであることを暴露するなど、やりたい放題の完全な清水ミチコ・ワールド。
井上陽水に関しては歌唱法を誇大させ過ぎて、完全に馬鹿にしていた(笑)それこそ彼女の真骨頂なのだが。ユーミンが先週登場した際に、自分のことを「こんにちは、清水ミチコです」と自己紹介したことに触れ、今度こっちは「こんにちは、松任谷由実です」と返す。この日もユーミンネタが一番盛り上がったことを思えば、清水ミチコ=ユーミンマネ第一人者的なイメージが世間に浸透し尽くしてる証だろう。
デヴィ夫人、山口もえ、高畑淳子、藤田ニコル、瀬戸内寂聴など、“清水のミっちゃんと言えばコレ!”と言わんばかりのレパートリーを連投。粋だなと思ったのは、最後に「ロック・イン・ジャパン2018メドレー」と題し、クリープハイプ、松任谷由実、ゴールデンボンバー、ゲスの極み乙女と、この4日間の出演者のモノマネを披露したこと。流石はダウンタウンとウッチャンナンチャンと共に「夢で逢えたら」で世に出てきたベテラン芸人である。彼女が芸能界に残り続ける理由を生ライヴで感じることが出来た。

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●MAN WITH A MISSION

今年のロッキンは各日トリのパフォーマンスが90分になった。ただ、被り物の野外の90分は辛いだろう。(途中でドラムとDJだけ残ったり、ヴォーカルだけ残ったりと、交互にメンバーがステージから捌けていったが、休憩してるんだろう)
この日のマンウィズのステージで良かったなと思えるのは、ワンマン以外で、普段よりも多い時間で多様な楽曲が聞けたことにある。「Emotions」で幕を開けるや、会場は狂喜乱舞に踊りまくる。いつもの光景ながら、狼たちの気合もいつもより増し増しだ。「Broken People」「Get Off of My Way」「Take What U Want」とアゲ曲が続く中、BIGMAMAのバイオリンMaoが登場しジャンケン・ジョニーがアコギで「フォーカスライト」をしっとり歌い上げる。日が沈んだ景色で爽やか空気感が気持ち良かった。
会場が一体化した「FLY AGAIN」で大大円を迎え、終始大盛り上がりとなった圧巻のマンウィズ・パフォーマンスだった。

セットリスト
M1 Emotions
M2 Broken People
M3 Get Off of My Way
M4 2045
M5 Take What U Want
M6 database
M7 Winding Road
M8 フォーカスライト With Mao from BIGMAMA
M9 Hey Now
M10 distance-Dive-DANCE EVERYBODY メドレー
M11 Take Me Under
M12 Raise your flag
EN1 Seven Deadly Sins
EN2 FLY AGAIN

(文・ROCKinNET.com編集部)
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