テレビ・芸能人

M-1暴言騒動で改めて感じた「上沼恵美子こそ最も優れた審査員だ」と言える理由

テレビ朝日系「M-1グランプリ2017」放映キャプチャ


上沼恵美子を初めて知ったのは紅白歌合戦の司会をした時だった。今以上に紅白に権威があった頃。安室奈美恵が初出場した頃だから約20年以上前と言うことになる。当時、関東育ちの中学生だった私はテレビで見たことも無いおばちゃんの存在が不思議でならなかった。後に、そのおばちゃんは、関西地区のテレビ界を席巻している視聴率女王であることを知る。

暴言騒動後に吉本芸人が沈着化動く

そんな唯一無二な日本のお笑い界に君臨する女王に、とろサーモン久保田と、スーパーマラドーナ武智という中途半端な知名度の芸人が噛み付いた。「私は好きじゃない」という個人的嗜好発言もあった上沼のM-1審査姿勢に対しての不満を、泥酔状態でインスタで生中継。「辞めろ」「右のオバハンにはみんなウンザリ」や、「更年期障害かよ」という女性蔑視とも捉えられる発言まで出た(いや、男だって更年期はあるらしいから)。これに、すぐさま吉本興業の上層部は反応、上沼に謝罪するため大阪に飛んで行ったという。そして、オール巨人「しっかりした大人に成れって伝えました!」や、博多大吉「僕史上、最大級の雷を落としますよ」や、南海キャンディーズ山里「飲んだらやるな、やるなら飲むな」など、吉本芸人界隈が二人を非難。事態の鎮静化を図るも、騒動は大きくなった。

上沼恵美子を「老害」と呼べない確固とした理由

そもそも、今の日本に昔ほどの年功序列が通念化してるとは思えない。JRの某アンケートでは駅員への暴力が最も多いのは50代であるという調査もある。そんな風潮の中、10-20代の若い世代は、敬えない年上を「老害」と呼ぶようになる。その言葉の表現自体は好きではないが、確かに老害というのは数多く存在する。しかし、上沼恵美子は違う。
上沼恵美子は、長い年月、テレビ界で実績を残しながら今もなお現役で活躍している功労者である。海原千里・万里時代の漫才のスピード感とカリスマ性は暴言二人がどう逆立ちしても敵うわけない実力者でもある。ましてや最近の女芸人が「ブス」や「容姿」など、女の逆説的発想で笑いを取っているのに対し、上沼は、ビートたけしや、明石家さんま等の全国区の男性芸人と「べしゃり」で同じ土俵に立って勝負している芸人である。同じ芸人道で生きる芸人が言うべきことではない。根拠なく威張るだけの老害とは真逆の敬うべき存在だから。彼らのしたことは、野球界で選手が王・長嶋に糞爺と言うくらいあってはならないことなのだ。

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M-1放映直後は暴言に賛同意見が多かった!?

ふと感じたのは、(想像の範囲なんだけど)この暴言って、相手が、たけしやさんまなら言わなかったと想像できるからだ。要は、上沼が、こうるせえババアだから暴言が吐けた。こうるせえババアは嫌われがちだから。俺も、そういうババアが世界で最も嫌いだ。口を縫い付けてやろうと思うくらい嫌いだ。現に、この騒動の当初は「よくぞ、言った!」と、暴言を吐いた二人に賛同する声が多かった。
しかし、芸人による上沼フォローや、暴言に対する社会的リテラシーが問われ始めると、そういった声も消滅する。所詮はネット世論なんて多数決、いいねが多い方に右へ倣えの世界。ここ数年の傾向として、自己主張が強めのベテランは、ネット世論では特にバッシング対象になりがちだ。和田アキ子がいい例であろう。しかし、上沼の場合は、暴言の二人の行いがあまりに愚かだったことや、筋の通ってることを言ってる合理性から、反上沼派のネット世論も即方向転換! そんな、コロコロ変わるご都合主義にネット世論の無責任性を感じた。※全てが全てと言っているわけではないので勘違いないように。

上沼恵美子が言う「個人嗜好による審査基準」は正しい!

M-1放送直後や暴言前後、反上沼意見としてSNS上であったのが「好き嫌いで審査するな」「ただのエコ贔屓じゃん」「審査委員として失格」という意見さえあった。しかし、そもそも笑いを審査するというシステムに疑問を感じる身としては、点数制のスポーツと違い、明確な審査基準があるわけではない笑いの審査で主観以外の何で評価しろというのだろうか? それこそ、大衆受けするだろうで審査してたら、その審査員は不要だ。だから、審査員選びも重要になる。実績を伴い、いろんなジャンルの芸人が呼ばれる。番組開始当初に審査していた、大竹まことも言っていたが「審査員が審査されている」という状況ではおかしい。審査員の評価は、大衆の機嫌取りではなく、その芸人のセンスや思想であるからだ。何故、このオードリーでなくノンスタイルなのかとか。上沼は、そこから逃げなかった。正に自分の確固たる思想を持って審査していたのだ。これこそ、漫才を審査するということである。


騒動は上沼が「(暴言吐いた二人に対して)興味も無い」と、謝罪も求めないし、相手すらしないという最大の屈辱を与えたことで鎮静化した。怒る価値も無いという人間以下の扱いをしたというのは、心から賞賛に値する。流石は上沼恵美子である。自宅が大阪城で、淡路島所有してて、金閣寺買った時のポイントで家電全般揃えてるだけはある(笑)

そして、暴言の二人には申し訳ないが、事実上干されるも同然だと思う。上沼本人は暴言自体を問題視すらしていない。許したと言うことでもないが、追究もしないことを明確にした。しかし、日本の芸能界・お笑い界の一大イベントで問題発言をし、M-1と吉本興業の顔に泥を塗った、若手芸人を野放しにしたら、それこそ天下の吉本が笑われる。世間も許さないだろう。昨今、ここ30年は芸能界の絶対王者であったジャニーズ事務所でも、SMAP解散のゴタゴタで同事務所のアレルギーが世間に充満したように、大手芸能事務所でさえも評価が変わってしまう。吉本もきちんとした態度を取らざるを得なくなるだろう。酒の席で上司の不満を言う平社員の気持ちも分からなくもないが、暴言の二人は手段と相手を間違えたな。

(文・ROCKinNET.com編集部)
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