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【話題の「中学聖日記」徹底分析】「高校教師」は高視聴率で「中学聖日記」が賛否両論な理由とは?




© TBS


昨年2017年のNHK朝の連続ドラマ「ひよっこ」で主演を務め好評を呼び、国民的女優となった有村架純が主演を務める、TBSドラマ「中学聖日記」。中学生である生徒と恋に落ちる教師という設定が話題となっている。このドラマは開始当初から「中学生と恋愛なんて気色悪い」「岡田健史が中学生に見えない」など大批判が起こるものの、回を重ねていくにつれ、視聴率も微増。SNSでは毎週火曜日の放送直後に必ず話題のワードに上がり、YOUTUBE等の配信では200万回を超すなど、視聴率だけで計測すれば人気ドラマと言い難いが、それら反応を鑑みれば、確実に今期ドラマの中で断トツに話題になっていることは間違いない。
そもそも、ドラマをテレビで観る価値観も共有させ辛い時代だ、視聴率至上主義も崩壊している。連続ドラマなんて録画したり、DVD化された後に観るのは当たり前だし、ネットで見逃し配信で観るなんてことも珍しくないからだ。同じような現象は福士蒼汰主演の「恋仲」でも起きた。当時、月9最低視聴率と言われたが、若者中心にSNSで話題となり視聴率が回復していった。

原作は人気漫画で、タイトルは二重パクリ?

原作は、仏在住の漫画家かわかみじゅんこによる漫画。女性向けマンガ雑誌「FEEL YOUNG」(祥伝社)で現在も連載中とのことである。「an・anマンガ大賞」で大賞を獲るなど人気のようだ。ある種のサブカル分野の人気であり、それが老若男女が観る地上波のドラマとして映像化されれば、ここまでの批判含めた反響が出ることも制作側は想定内だろう。ただ、かわかみ氏は今後は「ガチなラブシーン」も描きたいと言っているので、この原作者の発想がパリピっててついてはいけない(笑)

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また、この「中学聖日記」というタイトルも、言わば二重引用だそうだ。
NHKで長年放映されていた「中学生日記」と、漫画家・江川達也の「高校聖夫婦」を掛け合わせたんだとか。なので、生徒は別に中学生でなければならない理由もなかったのではないか?と思う。ただ、インパクト勝負で既存の有名なドラマをもじった言葉遊びなんじゃないかと。星野源が井上陽水をパロディして「夢の外へ」という曲を作ったような感覚に近いのでは? フランスの感覚、ワカリマシェ~ン!


そもそも「中学聖日記」人気の理由何なのか?

センセーショナルな設定

TBSは過去にも「高校教師」「魔女の条件」など教師と生徒の禁断の恋ジャンルで視聴率的な成功を収めている。「中学聖日記」はイマイチ伸びが悪いようだが、今期高視聴率を記録している織田裕二の「SUITS/スーツ」や、新垣結衣の「獣になれない私たち」などよりも、SNSや動画配信数では上回っており、話題性という点では勝っている。なんだかんだで、視聴者も先行きが気になっているようだ。

岡田健史というスーパールーキーの存在

この超話題の新人俳優の起用は大きいだろう。このドラマがデビュー作の19歳。デビューが地上波ドラマの主役級の役を掴むとは“モッテ”いる。端正なルックスで既に多くの女性ファンを魅了しているようで、また、回を重ねるごとに確実に演技が上達しているのが分かるため、今後の活躍も期待できる。

主演が芸達者な有村架純で良かった

いくら純愛を謳う物語とは言え、彼女にしては、今までの清楚なイメージを脱する役柄である。しかし、流石の演技派、人気女優だ。難しい役どころを、繊細な表現でもって演じきっている。相手の岡田健史が新人なだけに、彼女の芸達者ぶりがカヴァーしている。これが他の大根女優だったら観ていられなかっただろう。

ところで有村架純演じる主人公はショタコンなのか?

幼い少年に恋をする、いわゆるショタコンの女性の深層心理とはどんなものなのか。そもそも、この手の女性は「少年に母性本能が働き、自分が母や姉になったかのように尽くすタイプ」が多いとか。また、「自分に自信が無く、自分の性的魅力を低いと感じたり」「ファッション等に無頓着になり、身なりが地味目」になる傾向があるようだ。大人の女性として同世代の男性と対峙する自信がないことで、自分より遥か年下に恋愛感情を持つのだとか。



しかし、劇中の有村架純は、町田啓太と婚約していたし、教師として成長し、婚約者に依存しない自立するを目指していたことから、最初からそういった歪んだ性癖を持っていたわけではないので、これらには該当しないが、どこか自信なさげな様子はある。元婚約者の町田啓太に、生徒との禁断愛が発覚した後、許しを得て結婚のために大阪に連れ戻されようとするのに、岡田健史が追いかけてきたことで、心が揺れ、彼女は別れを申し出た。その行動は、やはり大人の女性としては未熟さを感じずにはいられない。

伝説のドラマ「高校教師」との時代背景の違い


今までも「高校教師」「魔女の条件」と教師と生徒の恋物語はあったが、93年に放映された「高校教師」なんてのは、校内暴力や近親相姦など社会的なタブーてんこ盛りで、内容的には「中学聖日記」なんぞ比較になら無いほど過激であった。なのに、最高視聴率33%を記録するなどドラマは大ヒットした。この両者の違いは何なのか?



時代性は大きいだろう。
まず、93年と18年では青少年を取り囲む法律が変わっている。93年の「高校教師」が「中学聖日記」のように“淫行”扱いされなかったのは、児童福祉法が96年に制定、東京都の青少年保護育成条例が05年に制定されたから法律には抵触しないからである。モラルの問題であった。18歳未満か否かが成人の性対象になるかの分かれ道となって久しく社会通念化されたので「中学聖日記」の風当たりが強くなったことも大きいだろう。

また、90年代よりも一時は教師によるパワハラやセクハラなどの報道も増えた。そのため、教師が生徒と恋をすること自体にファンタジーよりもリアリティを感じて、拒絶する人もいたのだろう。
また、昔よりもテレビ番組に対するコンプライアンスが厳しくなったという側面も大きいと思う。なんでも過激な表現は批判の対象で番組が終了したり謝罪に追い込まれる風潮は少なからずある。煙草を吸うドラマが皆無になったように、当たり障りのない内容のシナリオが多くなってきている中での、まさかの中学生との恋愛と来た。

「中学聖日記」の拒絶反応は「高校教師」の時よりもフィクションを受け入れる寛容性が現代に、視聴者に、なくなっている結果とも言えよう。ドラマはフィクションであり、何なら「中学聖日記」も『ロード・オブ・ザ・リング』並みのファンタジーと捉えていい(笑)

岡田健史だったからドラマ化が成り立っている

また、中学生というのも幼すぎる。ただ、岡田健史を起用したのは正解だった。元高校球児の彼は身体も出来上がっており、19歳とはいえ立派な大人の男性だ。中学生の幼稚さは無い。だから良かったのだ。これが、実年齢が中学生の俳優を起用したら、ビジュアル的に観るに耐えれないショタコンな異常性愛ドラマになってしまっただろう。彼を起用したことでフィクションが成り立ったのだ。

芸人の存在が緊迫するドラマの中和剤になっている

このドラマには、友近、マキタスポーツが出演している。彼らの存在が大きい。とにかくスキャンダラスな内容だけに緊張感が走るのだが、時折、芸人らしい和やかな空気感で出て来る彼らが調度いい中和剤となって、絶妙なバランスを保っている。また、前半に出演していた夏木マリもどこかコミカルな演技をしていたことも大きかった。

吉田羊と町田啓太の大人の恋愛ドラマでもある

そして、吉田羊の存在。このドラマでは有村架純と岡田健史だけの恋愛が見所では無い。有村架純の元婚約者である町田啓太が上司である吉田羊と距離を縮め、大人の恋愛物語を見せる。この2人も有村・岡田と大差のない年齢差(10歳差)なのも何とも面白い。同じ年齢差でも、18歳を基準にこうも人の恋愛や周囲の反応は変わる。美男美女なだけに、この2人の先行きが気になる。




いよいよ佳境の「中学聖日記」に求めたいこと

年齢という許されない大きな壁があることで、有村架純は様々な批判を受けながら生きていく。新境地の田舎町の小学校教諭になった際に、同僚の渡辺大が「誰だって何十年も生きてれば触れられたくない過去はある」という台詞があったが、このドラマは、どこか贖罪めいたテーマ性があるように思える。禁断の恋愛に翻弄されながらも、いろいろなものを失いながら対峙していく主人公が切ない。

また、吉田羊が有村架純を忘れるために自分に迫ってくる町田啓太に対し「そんな『じゃない方』の扱い、もう嫌なの」と言い捨てるが、このドラマは、年齢という壁により離れなければならなかった有村架純と岡田健史と、それを取り囲む関係者たちが、運命の恋を捨て、代わりのじゃない方の恋愛をすることで苦しみもがく切ない物語である。けど、思う。世の中の恋愛や結婚なんて、大半が「じゃない方」の妥協の結論だと。だからこそ、視聴者は共感で涙を流したり、本能のままに行動する有村架純を軽蔑・批判するのだろう。(大黒摩季みたいなこと言ってしまったけど。親も歳だし、あなたしかいないし~みたいな。)

原作は連載中のため、ドラマの最終回はオリジナルのストーリーになるとされており、誰もが想像つかない展開を迎えるようである。とにかく過酷な展開が続いているドラマであるし、「高校教師」や「魔女の条件」など不幸な結末を迎えがちなジャンルだけに、最後は登場人物にせよ、視聴者含め“笑顔”で締め括れることを願うばかりである。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。


 

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