映画レビュー

ポップ・カルチャーへの敬意と賛美で彩られた大傑作『レディ・プレイヤー1』

(C) 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED


あれだけ映画史に革命を果たしてきたスピルバーグが、21世紀にこれほどまでに革新的な映画を生み出すのかと驚きと脱帽しかない。まだまだ現役、キング・オブ・娯楽映画、未だ健在だ!
人の夢を映像で叶えることに関してはスピルバーグは人類史上最高レベルという再確認。なりたい自分になれる・・・・・・仮にオアシスに行ったら、ディーン・フジオカや高橋一生にでもなって、街中の美女をナンパしまくってみたいなんて、くだらない妄想しか出来ない俺って器小っちぇ~(笑)

まるで豪華なオモチャ箱をひっくり返したような贅沢な映画で、ガンダムとメカゴジラの一騎打ちなど夢のようなシーンでは全身からアドレナリンがほとばしる想いだった。キティちゃんなどのサンリオキャラも出て来るし、主人公は波動拳も出したように、日本文化にも、かなり精通している。2020年の東京五輪への布石なのか? クール・ジャパンの浸透性にも感心する。やっぱ日本が世界に太刀打ちできるのってアニメやキャラクターなんだなと思った。

ファミコン世代には堪らないコアな情報を織り交ぜるなどオタク度全開な設定で、流石についていけない程のマニアックさではあるものの、キューブリック監督作『シャイニング』の映画の舞台設定に入り込むなど、反則技とも言える贅沢なアイディアが秀逸だ。「原作者のスティーブン・キングが映画版を好んでいない」という有名なトリビアが台詞で出てきたり、例の双子の少女がエレベーターの前に立っていた時のニンマリ感は映画好きなら理解してもらえるはず。
ゲーム、漫画、映画等、この映画は随所にポップ・カルチャーへの敬意と賛美で彩られている。この姿勢こそが素晴らしい。

なりたい自分にアバターとしてなれる仮想世界“オアシス”。
その発明家が逝去する直前に、オアシス内に秘密の鍵を三個隠し、それを見つけた者に莫大な資産と、オアシスの継承権を与えると言うことで皆が躍起になって仮想現実に飛び込む。


第一の鍵を見つけるための自動車レースでは、『マトリックス』ばりの異空間を演出。車が飛んだり跳ねたりしながら、かっ飛ばす勢いたるや圧巻。そこに『ジュラシック・パーク』並みの恐竜や『キング・コング』が現れたりして行く手を阻むのだが、もう暴れ放題! 
まさに娯楽作としての掴みは、これ以上ないってほどに完璧で、冒頭から映像革命を起こしてしまうのだから凄い。

しかし、流石スピルバーグである。この映画、ただの仮想空間だけのCG映画に終わらない。
オアシスの継承権を手に入れる為に軍隊まで用意する巨大企業が、主人公のゲームの好成績に嫉妬し、現実世界でも彼らを襲う。血肉の通ったアクション展開も見せるのだ。
単純明快な勧善懲悪の構図を生み出し、世界共通の「面白い」を具現化してきたスピルバーグだからこその職人技に唸る。

時には、主人公の叔母が住む住宅を爆撃するなど、仮想現実のゲーム成果を追い求めるあまりにリアルな現実をも混乱させるという、何とも皮肉な展開をも見せる。
オアシスでゲームを進めるためにはお金が必要で、それは現実の財産に直結する。まるで、スマホの課金制ゲームと仮想通貨が合体したかのような設定だ。それらは否定しないが、行き過ぎた課金により破産する者も現れる。そこに目を付け儲けようとする大企業も現れる。
SF映画ながら本質的には現実世界を描いている。スピルバーグは映画に時代性を取り込むことも怠らない。
登場人物が、冴えないオタク少年、顔に痣がある少女、ボーイッシュな黒人女性(LGBT意識?)、東洋の少年などマイノリティが大活躍する様も、実に現代的だし爽快である。白人俳優onlyではないのだ。
時代性も踏襲した、正しく“いま”の映画。しかし、何が凄いって、彼の映画の普遍性である。いつ何時観ても面白い。色褪せない。おそらく、この『レディー・プレイヤー1』も20年後観ても面白いはずだ。

最終的には現実世界での生身の人間性を重要視するところに落ち着く。
スピルバーグなりの、ゲームやSNSなどの仮想空間に捉われている現代社会への警告とも捉えられる。
ジャーナリズムの在り方を問うた社会派映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』と、この超絶スペクタクルな大衆エンターテイメントを、同時進行で仕上げてしまう仕事の早さと、映画制作能力の高さに世界中の賛辞をお贈りしたい。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

 

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