映画レビュー

『パワーレンジャー』が成功したのは若者の青春群像劇を多様性でもって描いたこと!

image source:http://www.imdb.com/title/tt3717490/mediaviewer/rm586484224


スーパー戦隊の映画といえば夏は30分、冬は60分以内で終わることを考えると、少々もたもたし過ぎな感じがした。もちろん、あっさり過ぎてもハリウッドの面目が保てないというのもあるのだろう。ヒーローたちの事情を深く掘り下げた青春映画として成立させ、日常では冴えない、はみ出し者たちが一躍ヒーローになる様は、まるで『スパイダーマン』や、少し毛色は違うが『グーニーズ』『glee』のような逆転劇が垣間見れて爽快だった。
また、五人のキャラが、白人男性、黒人、アジア系、レズビアンと多種多様性に富んでいることも現代的でいい。ま、白人男性がレッドなのも、アメリカだけど、人種的なことでとやかく言ったらキリが無いのでここでは避けよう。

最近の戦隊はキャラクターへの好感度、愛着が人気を左右すると言っても過言ではない。『ニンニンジャー』の天真爛漫なタカ兄もだし、『ジュウオウジャー』のネガティブ・キャラのみっちゃんも強烈だった。
そういうキャラへの愛着は、一年間かけて育まれるもので、最近では戦隊俳優のプライベートがSNSで配信されるなどもして、まるで、スーパー戦隊というひとつのサークルを皆で盛り上げているような状況だ。ただ、これらは二時間ちょっとの映画で生まれない。だからこそ、『パワーレンジャー』には、あそこまで各々の人物像を掘り下げる必要性があった。あれは成功だと思っている。(レッドはアメフトのスター選手から挫折し、ブルーはいじめられっ子、ブラックは母親の看病に苦心し、イエローはLGBTなど・・・・・・)

ただし、ヒーローに変身するのに理屈は要らない。
ハリウッドの悪い癖。「手裏剣変化」「本能覚醒」「スターチェンジ」のひと言でいいのだ。あれはモタモタし過ぎに思えた。あと、気になったのが、司令官?のおじさん(ゾードン)が、壁だったことだ。独自のキャラクターを作り上げるのは日本が優れていると言われている。例えるなら、渡辺謙の『GODZILLA』でも、ゴジラと闘う怪獣の造形が、あまりに陳腐だったように、この『パワーレンジャー』でも、司令官が壁って言うのも、あまりに芸が無い。現在放送中の『キュウレンジャー』でも、司令官ショウロンポーのような、多様な着ぐるみ(?)が出ているが、ああいうキャラ造形の発想はアメリカ人には出来ない、それが如実となった例だと思う。

変身後のまるで『トランス・フォーマー』を彷彿とさせる、ド派手なアクションは、当然、日本のスーパー戦隊の比ではない(日本のもあれはあれで良い)。ハリウッドが本気でスーパー戦隊をやると、こうも迫力があるのかというのを実際に目に出来ただけでも十分に嬉しい。続編が楽しみである!

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 安室奈美恵の引退への想い~安室という現象が現代の日本女性像を変えた~
  2. パリピが日常悩んでる嫌なことって何?ストレス溜めない極意がULTRA JAPAN…
  3. サンボマスター vs My Hair is Bad 男どアホウ夏の陣!日本ロック…
  4. ピーター死亡?アベンジャーズと違う?話題の映画『スパイダーマン:スパイダーバース…
  5. 『茅ヶ崎物語 ~MY LITTLE HOMETOWN~』からサザンがエロスを歌う…

関連記事

  1. 映画レビュー

    勝手に選ぶ今年良かった映画TOP10 2017大発表!

    今年は本当に多くの映画を観た。劇場鑑賞数68作品というのは人生…

  2. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】日本で一番悪い奴ら

    (C)2016「日本で一番悪い奴ら」製作委員会綾野剛の圧倒的勝…

  3. 映画レビュー

    人種差別の本質を鋭くエグるリー監督最高傑作『ブラック・クランズマン』

    時たま衝撃を得る映画を観ることがある。自分が理解していると勘違いし…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. ハリウッド

    『マイティー・ソー バトルロイヤル』を楽しむための豆知識をちょこっとだけ紹介!
  2. 映画レビュー

    『茅ヶ崎物語 ~MY LITTLE HOMETOWN~』からサザンがエロスを歌う…
  3. 映画

    『いぬやしき』興行失敗で垣間見える漫画原作映画の限界~世間はエグさに飽きている
  4. ライブレポート

    【即日ライブレポ】KEYTALKの横浜アリーナ公演は到達では無く“門出”だった!…
  5. テレビ・芸能人

    【徹底考察!】元SMAP「72時間テレビ」が大盛況!ネットはテレビに取って代わる…
PAGE TOP