映画レビュー

【映画鑑賞日記】ぼくは明日、昨日のきみとデートする

yesterday(C) 2016「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」製作委員会

やばい、切ない・・・胸が痛い・・・
福士蒼汰に泣かされるとは思ってませんでしたね・・・笑
設定自体は微妙に異なりますが、フィンチャー監督作『ベンジャミン・バトン』のラストで、時間軸が反対に流れる男女の行く末、年老いたケイト・ブランシェットと赤ん坊のブラピが手を繋いで歩いてる姿を観て感じた何とも言えない心の苦しみに近い。

単なる最近流行している少女漫画原作の恋愛映画ではありません。
向かう時間軸の方向が逆という男女の擦れ違いを、時間の流れの特性を使って巧みに男女間の恋愛の枷を描いた、不可思議なミステリー恋愛映画でした。
向かう時間軸の方向が逆ということは、一方の出会いが、一方の別れになる・・・(福士蒼汰にとっての初対面が、彼女にとっての別れの日になる)。明日会おうという約束が成立しない。共通の過去が無いから、思い出が作れない。相手を愛した時間が思い出になり、情が入るのが恋愛の本質だと思うのですが(俺が勝手にそう思ってるのでほっといて笑)、そうならない設定に、胸がはち切れそうになりました。
大切な人と過ごす何気ない日常の一瞬の切り取り方と、その時間のかけがえのなさを描いた傑作です!

言わば、ハッピーエンドではない。別れの物語です。近年は山崎賢人映画のような頭の中がお花畑な少女漫画原作映画が多く、バッドエンドの青春ものって日本では見なかった気がします。そういう意味でも、貴重かもしれません。
これは、人間がどうすることも出来ない<時間>というものの無二性と残酷性という両極端の側面を、淡い想いというフィルターで通しながら描いたラブストーリーです。

三木監督は『ソラニン』然り『青空エール』然り、若者の繊細な心情を描かせたら今や日本で右に出る者はいませんね!
この人、毎回思うのですが、陽の使い方が非常にうまくて、誰しもが経験してる淡い思い出を心地良い柔らかい光を以て表現している。うまいです。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 「時代遅れのRock’nRoll Band」を聴く
  2. RADWIMPS「HINOMARU」が物議!ポップ・ソングの右傾化に不自然さを感…
  3. 遂にNYタイムズ誌まで?ガキ使の黒塗りメイク批判は行き過ぎだと思う理由!
  4. 【速報ライヴレポ】ハリー・スタイルズ初ソロ来日公演を間近で観た!彼こそ時代の寵児…
  5. 年収50億のジョニー・デップが破産寸前な理由とは!~お金について考える

関連記事

  1. 映画レビュー

    絶対的なエンタメ性!これぞ娯楽作の鑑!『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』

    これぞ娯楽の鑑だ! 何なんだろう、この安定の絶対的なエンタメ性…

  2. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】ナイスガイズ!

    今年度の賞レースを独占している『ラ・ラ・ランド』で主演を務めた…

  3. 映画レビュー

    シリーズのある種の頂点に達した『クリード 炎の宿敵』に胸が熱くなる!

    ロッキーが何故アカデミー賞に選ばれて映画史に燦然と輝く名作になった…

  4. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】キングコング:髑髏島の巨神

    映画を愛する映画馬鹿が振りかぶって作った、賛辞を持って「馬鹿だ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

[PR]
  1. ライブレポート

    【ライヴレポート】ポール・マッカートニー(2018/11/1@東京ドーム)
  2. 音楽

    アリアナ慈善LIVE「One Love Manchester」を観て感じたこと
  3. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス
  4. ライブレポート

    SUMMER SONIC 2017 東京会場1日目ライヴレポート
  5. ハリウッド

    【実は悪事を働いていない?】『美女と野獣』の悪役ガストンから読み解く、強さを求め…
PAGE TOP